松雲寺

松雲寺

松雲寺は山梨県韮崎市中田町中條にある曹洞宗の寺院で、冨栄山という山号を持っています。本尊は聖観音菩薩であり、塩川筋霊場の28番札所としても知られています。この寺院は、中田町中條にある昌福寺を末寺としています。

寺院の歴史

松雲寺の創立は天正9年（1581年）2月に遡ります。この年、賢能和尚によって設立され、その後、徳川家から寄進を受けるなど名刹としての歴史が築かれました。特に、慶長8年（1603年）には寺領として合二石四斗九升が寄進されたことが記されています。これは、この寺院の重要性を示しており、いたるところにその名残を見ることができます。

また、『甲斐の山城と館』によると、松雲寺の境内には松雲寺塁と呼ばれる防御施設が存在していたとされています。天正10年（1582年）6月、つまり本能寺の変の影響を受けて甲斐と信濃の武田遺領を巡る「天正壬午の乱」が発生しました。この際、徳川家康は韮崎市中田町中條に位置する新府城を本陣として利用し、敵である後北条氏と対峙するために兵を送りました。松雲寺塁は小田川沿いの逸見路に立地し、当時の水上氏屋敷も徳川方が布陣したことが示唆されています。

学校との関連

松雲寺は、明治時代においても地域の教育に寄与しました。1873年（明治6年）7月からは、中田尋常小学校の仮校舎として使用されました。その後、1889年には新しい校舎が完成し、1908年には230坪の運動場が新設されました。本堂の中心部には教員室が設置され、学年ごとに教室が分かれていました。高学年の生徒は本堂西南にある新校舎に移動する形で授業が行われていました。また、運動場にはポプラや桐が植えられ、地域における学校教育の中心として機能していました。最終的には、1932年（昭和7年）に新しい校舎が建設されるまで、松雲寺はこの地域の教育の中心であり続けました。

明治5年の資料によれば、松雲寺には阿弥陀堂が所有されていたことも記録されています。

ギャラリー

松雲寺のホームページを訪れると、寺院の美しい風景や文化的なイベントに関する情報が得られます。

参考文献

• - 『韮崎市誌』韮崎市誌編纂専門委員会 (1979)
• - 『甲斐の山城と館』宮坂武男 (2014)
• - 『ふるさとの思い出　写真集　明治大正昭和　韮崎』藤原茂男 (1983)
• - 『目で見る　韮崎・巨摩の100年』山寺仁太郎・山岸虎雄 (1990)
• - 『甲斐国社記・寺記』山梨県立図書館／編 (1967)
• - 『中部地方の中世城館〈2〉山梨・長野 (都道府県別日本の中世城館調査報告書集成)』(2001)
• - 『中田小学校百年記念誌』(1975)

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