新府城

新府城の概要

新府城（しんぷじょう）は、山梨県韮崎市に存在した日本の城で、1973年に「新府城跡」として国の史跡に指定されています。この城は武田氏の築城の集大成であり、現在もその遺構が残っています。現在、本丸跡地には藤武稲荷神社が建てられており、多くの観光客を引き寄せています。

地勢と構造

新府城は甲府盆地の西部に位置し、八ヶ岳の火山活動によって形成された七里岩台地の上に築かれた平山城です。この城の西側には侵食崖があり、東には塩川が流れています。新府城は石垣を使用しない特徴があり、本曲輪、二の曲輪、三の曲輪、帯曲輪など様々な曲輪によって構成されています。防御機能を高めるために、丸馬出し、三日月堀、枡形虎口といった防御施設が備えられています。

近年の発掘により、城の遺構として土塁や堀跡、井戸、排水施設などが確認され、甲州流築城術の特徴が色濃く残っていることが判明しました。また、陶磁器などの遺物も出土しており、歴史的な価値が再評価されています。

武田家の歴史と新府城の役割

武田家は戦国時代において勢力を拡大し、信虎時代には甲府へと本拠地を移しました。その後、武田信玄は躑躅ヶ崎館を築くなどして政権を強化しましたが、防御の観点から新たな城の必要が説かれるようになりました。新府城が築城された背景には、武田家の領地拡大とともに、安全な拠点を構築する必要があったことがあります。新府城は、盆地の北西端に位置し、当時の主要な交通路の交差点にあたるため、戦略的に重要な場所でした。

新府城の築城は1581年に始まり、同年の末には武田勝頼が本拠を躑躅ヶ崎館から新府城へ移すこととなりました。しかし、武田氏はその後の織田信長・徳川家康連合軍との戦闘に敗北し、県内の支配を失います。新府城は築城途中で廃城となり、武田氏の滅亡と共にその役割が終わるのです。

近世以降の新府城

武田家が滅亡した後、新府城は織田氏の支配下に置かれました。その後、天正壬午の乱において徳川家康が新府城を本陣とし、戦術の要として利用しました。甲斐を巡る戦略が変化する中、最終的には徳川家康が甲府城を築城し、城下町が形成されるに至ります。これにより新府城は廃城となり、その跡地は記録として残されることになります。

近代の発掘と保存

新府城は1973年に国の史跡に指定された後、韮崎市が管理を行い、私有地の公有化が実施されました。1998年からは発掘調査が行われ、2005年には史跡整備が始まりました。また、2017年には「続日本100名城」にも選定され、歴史的価値が高く評価されています。

アクセス

新府城跡へのアクセスは、鉄道では中央本線の新府駅を利用できます。また、車を利用する場合は中央自動車道や国道20号、国道141号が便利です。

このように新府城は歴史的にも重要な城であり、その遺構は武田家の築城技術や戦略を物語っています。多くの訪問者にとって、その歴史を学ぶ貴重な場所となっています。

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