松風 (初代神風型駆逐艦)

松風 (初代)

大日本帝国海軍が運用した初期の駆逐艦、神風型駆逐艦（初代）の7番艦として建造されたのが「松風」（まつかぜ）です。後に神風型（2代）として同名の駆逐艦が就役したため、区別の目的で「松風 (初代)」あるいは「松風I」と表記されるのが一般的です。本艦は、三菱長崎造船所で建造されました。

建造の経緯

「松風」は、製造番号第7号として1905年2月15日に正式に命名されました。起工については、資料によって異説があり、1904年9月1日に開始されたとする記録と、三菱長崎造船所において船番173として1905年9月25日に着手されたとする記録が存在します。船体は約1年かけて形作られ、1906年12月23日に無事進水。そのわずか3日後の12月26日には、帝国海軍の駆逐艦として正式に類別されました。すべての工程を完了し、艦が竣工したのは翌年の1907年2月16日のことです。

就役後の活動

竣工後、「松風」は主に沿岸や周辺海域の防備任務に就きました。特に、1914年に勃発した第一次世界大戦においては、重要な役割を果たしました。極東におけるドイツ帝国の拠点であった青島（チンタオ）を攻略する作戦では、海上からの支援任務に参加しました。その後、南方のシンガポール方面に派遣され、この地域の警備活動に従事しました。また、ロシア革命後の不安定な情勢下で行われたシベリア出兵時には、日本の権益保護や邦人保護のため、沿海州の沿岸警備任務にも就いています。これらの多様な任務を通じて、「松風」はその初期の艦齢を重ねていきました。

歴代駆逐艦長

「松風 (初代)」の指揮を執った歴代の駆逐艦長は以下の通りです。草創期の帝国海軍駆逐艦において、これらの指揮官たちが本艦の運用を担いました。

横尾 尚 少佐：1907年2月9日 - 4月5日 （兼務期間）
園田 繁喜 大尉：1907年4月5日 - 1909年2月20日
春日 正量 大尉：1909年2月20日 - 7月30日 （兼務期間）
黒田 勇吉 大尉：1909年7月30日 - 12月1日 （兼務期間）
園田 義治 大尉：1909年12月1日 - 1911年5月23日
園田 信正 大尉：1911年5月23日 - 1913年12月1日
前田 数馬 大尉：1913年12月1日 - 時期不詳
緒方 末記 少佐：時期不詳 - 1916年12月1日
太田 増右衛門 大尉：1916年12月1日 - 1917年3月1日 （兼務期間）
石井 先知 大尉：1917年3月1日 - 1918年12月1日
川村 久右衛門 大尉：1918年12月1日 - 1920年2月10日
鈴木 清 大尉：1920年2月10日 - 1920年3月15日 （兼務期間）
工藤 泉介 大尉：1920年3月15日 - 1920年11月12日
奥 信一 大尉：1920年11月12日 - 1921年12月1日
佐藤 慶蔵 大尉：1921年12月1日 - 1922年7月20日
山上 誠一 大尉：1922年7月20日 - 1923年1月20日
* 遠藤 昌 大尉：1923年1月20日 - 11月1日

艦齢の終焉

約17年間の就役期間を経て、「松風 (初代)」はその任務を終えることとなりました。1924年4月1日、帝国海軍の艦艇リストから正式にその名が除かれ、本艦の歴史は幕を閉じました。

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