板坂剛

板坂剛：多才な表現者の軌跡

板坂剛（いたさか ごう、1948年 - ）は、日本のフラメンコダンサー、作家、そしてプロレス評論家として知られる異色の人物です。本名は別に、美能憲二のペンネームも使用しています。福岡県出身で、幼少期を山口県で過ごしたことが彼の文化観に大きな影響を与えたとされています。国文学者の板坂元は叔父にあたります。

若き日の活動と文壇への反逆

日本大学に進学後、全共闘運動に参加した板坂は、1971年にシナリオ「黎明は炎のように輝く」を発表し、文筆活動を開始しました。1972年には、日大芸闘委時代の同志と共著で「日本映画解体考」を出版。1975年には小説「Rの誘惑」を発表し、その過激な広告戦略が話題を呼びました。既存の作家や文壇を挑発するような広告は、文壇の反感を買い、掲載を拒否される事態に。さらに、プロレス新聞を片手に女装した写真が漫画家たちの不興を買い、出版社からも広告掲載を拒否されてしまいます。その後、板坂は先駆文学会を結成し、映画芸術誌に限定して広告を掲載し、ラジカルな反文壇プロパガンダを展開、芥川賞を全否定し、特に村上龍を徹底的に批判しました。

過激な行動と皇室ポルノ事件

1979年には、劇画誌上で漫画家を攻撃し、路上で流血沙汰を起こすという過激な行動に出ます。1980年には、噂の真相誌に掲載された皇室ポルノ小説をテーマにした記事で、コラージュ写真が原因で皇室ポルノ事件が勃発、同誌は廃刊の危機に晒されました。

フラメンコへの情熱と三島由紀夫研究

1982年、板坂はアルテフラメンコを設立し、フラメンコダンサーとしての活動を開始します。また、三島由紀夫研究家としても知られ、1997年には「極説・三島由紀夫-切腹とフラメンコ」を発表。この作品は、タブーとされていた三島のルーツやセクシュアリティ、川端康成の代筆疑惑などに触れ、大きな波紋を呼びました。2002年には、鈴鹿智美をモデルにした小説「智美－その生と死の余韻」を美能憲二名義で発表し、2003年には同作を原作とした創作フラメンコ「智美－SATOMI」を公演しました。

プロレス評論家としての側面

1986年、板坂はアントニオ猪木対ブルーザー・ブロディのプロレスの試合でブロディがカミソリで自らを切りつけるのを目撃。猪木信者であった板坂は、「愛の告発」として噂の真相誌上にこの事実を暴露しました。

多様な著作活動

板坂は、小説、評論、プロレス関連書籍など、多岐にわたるジャンルの著作を多数発表しています。主な著書には「黎明は炎のように輝く」、「日本映画解体考」、「Rの誘惑」、「極説・三島由紀夫-切腹とフラメンコ」、「アントニオ猪木・最後の真実」、「智美－その生と死の余韻」などがあります。これらの著作からも、彼の多才さと、既存の価値観にとらわれない自由な精神が伺えます。

まとめ

板坂剛は、フラメンコ、文学、プロレスという異なるジャンルを横断し、常に時代の既成概念に挑戦し続けた特異な表現者です。その過激な言動や行動は多くの議論を呼びましたが、彼の独自の視点と表現力は、多くの人々を魅了し続けています。

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