板坂宗商

板坂宗商について

板坂宗商（いたさか そうしょう）は、室町時代後期に生きた医師で、足利義輝や武田信玄に仕えた侍医として名を馳せました。彼の通称は板坂法印、あるいは板坂卜斎です。彼の生没年は不詳ですが、その医術の才は当時から高く評価されていました。

初期の経歴

宗商は、医師として室町幕府に仕官し、足利義輝の侍医の一員として活動を開始します。彼は南禅寺の東禅院に住み、ここにおいて子弟に本草綱目、すなわち薬草学の教えを講じました。このように、彼は医師としてだけではなく、教育者としても重要な役割を果たしていたのです。

武田信玄との関わり

足利義輝が突然の死を迎えた後、宗商は武田信玄からの招聘を受け、甲斐国（現在の山梨県）で信玄の侍医となります。この折、彼は出家していた立場から還俗し、「板坂法印」と称されるようになりました。信玄は宗商の医術を重く見ており、彼の実子である板坂卜斎も東禅院から呼び寄せて、家臣としての地位を与えます。

元亀4年（1573年）4月、信玄は病に倒れる直前まで宗商の脈診を受けていましたが、惜しくもその後に信玄は他界します。彼はその後、信玄の息子である勝頼に仕官しましたが、天正10年（1582年）3月、織田信長の甲州征伐によって武田家が滅亡すると、父子ともに加藤清正のもとに仕官することとなります。

肥後での活動

文禄の朝鮮出兵期間中、加藤清正は異国での戦闘に臨むにあたり、宗商に自らの娘たちの養育を依頼しました。清正はその見返りに恩賞を求めましたが、宗商は一度は辞退をします。しかし最終的には、朝鮮に存在する医学書や漢籍文献を求めて朝鮮に赴くこととなります。彼の子である板坂宗高（卜斎）は、後に徳川家康に仕官し、『板坂卜斎覚書』や『慶長年中卜斎記』などの著作を残しました。また、孫の板坂友閑も医師として豊前小倉藩の第2代藩主である小笠原忠雄に仕官しています。

家系と影響

板坂宗商は室町幕府の典医を務めた板坂三位の子孫であり、彼の先祖には名医が多く存在しました。彼の家系は以下の通りです：

• - 高祖父：板坂宗頓
• - 曾祖父：板坂宗徳（三位）
• - 祖父：板坂惟順
• - 父：板坂継順
• - 本人：板坂宗商（法印）
• - 子：板坂宗高（卜斎、1578年 - 1655年）
• - 女：今井信盛室
• - 孫：板坂友閑（豊前小倉藩士）

宗商の医術はいかにして彼の家系や周囲の人々に影響を与えたのかが、今も語り継がれています。彼の生涯は、当時の医学に寄与しただけでなく、その子孫たちにも大きな足跡を残すこととなったのです。

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