板垣雄三

板垣 雄三について

板垣雄三（いたがき ゆうぞう）は、1931年2月5日に東京市本郷に生まれた日本の著名なイスラム学者です。彼は東京大学名誉教授や東京経済大学名誉教授の肩書きを持ち、文化功労者にも選ばれています。彼の研究は中東やイスラム文化に対する深い理解をもたらし、広く評価されています。

来歴と学問的背景

板垣は1953年に東京大学文学部西洋史学科を卒業し、1956年には同大学院修士課程を修了しました。その後、東京都立竹早高校で教諭として教壇に立った後、1960年から東京大学東洋文化研究所で助手として入りました。そして、1965年から1966年にかけてはアラブ連合共和国への出張も経験しています。1966年には東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所（AA研）の専任講師として就任し、1967年には助教授に昇進しました。

1971年からは東京大学教養学部の助教授も兼任し、1976年には同大学の教授に昇進。その後も東京都立竹早高校から移り、1986年には東洋文化研究所の教授を兼任、1991年に定年退官して名誉教授の称号を得ました。退官後も東京経済大学にて特任教授として活躍し、2001年に定年退職します。退職後も名誉教授としての地位に留まりました。

受賞歴と学会活動

板垣は多くの賞を受賞しており、1964年にはアジア経済研究所の発展途上国研究奨励賞、1989年には大同生命地域研究奨励賞、1991年にはJCJ特別賞を受賞しています。また、2003年には文化功労者に認定され、学術界においての地位を確立しました。さらに、日本中東学会の会長や日本イスラム協会の理事長を務め、アジア中東学会連合の会長、日本学術会議の会員として広く活動しています。

研究領域と主な著作

彼の研究は初期には現代エジプトに焦点を当て、その後、1970年代にはパレスチナ問題にシフトし、さらに1980年代以降は「イスラームの都市性」というテーマに取り組むようになりました。湾岸戦争や9.11テロ、イラク戦争の際には、アメリカの中東政策に関する議論にも積極的に発言し、専門家としての見解を示してきました。

著著は非常に多岐にわたり、代表的な著作には「日本人よ、覚悟はできているか! 世界の集中砲火をどうするか『これから始まる日本の湾岸戦争』」（1991年）、 「歴史の現在と地域学 現代中東への視角」（1992年）、 「石の叫びに耳を澄ます 中東和平の探索」（1992年）、そして「イスラーム誤認 衝突から対話へ」（2003年）などがあります。

また、共著や編著も数多く、アラブの現代史や中東ハンドブックなど、多くの研究書を手がけています。これらの著作は学問だけでなく、一般の読者にも理解しやすい内容となっており、彼の研究の幅広さを示しています。

結論

板垣雄三は、イスラム学の分野において重要な学者であり、彼の研究や著作は日本国内外における中東問題の理解を深めるために寄与しています。彼の業績は今もなお多くの研究者に影響を与え続けており、イスラム文化を理解するための貴重な資源となっています。

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