林仙之

林 仙之（はやし なりゆき）

林仙之は、1877年1月5日に熊本県上益城郡朝日村（現在の山都町）で生まれた日本の陸軍軍人です。彼は生家において、父の林兼八のもと、教育を受けながら成長しました。その後、成城学校や陸軍幼年学校を経て、1897年11月には陸軍士官学校を9期生として卒業し、翌年には歩兵少尉として任官されました。

軍歴の初期

林は、任官後すぐに歩兵第13連隊の副官および補充大隊中隊長として活躍しました。彼の軍歴の中で特に重要な出来事は、日露戦争での戦闘です。彼は歩兵第13連隊の中隊長として戦場に赴き、戦争の激動の中で部隊を指揮しました。

日露戦争を経た後、林は陸軍大学校に復帰し、1908年11月に20期生として卒業しました。卒業後は、歩兵第13連隊の中隊長や参謀本部員、さらには山口連隊区司令官、歩兵第3連隊長としての職を歴任し、陸軍歩兵学校教育部長等を務めました。これらの経験により彼は着実に昇進し、1923年8月に陸軍少将に進級しました。

さらなる昇進と役割

その後、歩兵第30旅団長、朝鮮軍参謀長、陸士校長などの要職を歴任し、1927年には陸軍中将に昇進しました。続いて、教育総監部本部長や第1師団長、東京警備司令官など重要な役割に就きました。1934年3月、林は陸軍大将に昇進し、その後待命状態となり予備役に編入されました。

彼の軍歴の中で特筆すべきは、1937年2月に発生した二・二六事件において、陸軍高等軍法会議の判士としての役割です。林は磯村年陸軍大将らとともに、公判を担い、事件の処理に関与しました。

人物と家族

林はまた、戦後に大日本傷痍軍人協会の会長を務め、傷病者の支援にも尽力しました。彼の家族には、義父として陸軍大将の大迫尚敏が名を連ね、妻の大迫フミ、長男の信之、長女の寿美子、そして五人の娘がいます。また弟の林季彦も東京地方専売局長や火災保険各社の社長を務めるなど、優れた経歴を持っています。

栄典

林の功績は数多くの栄典でも表されています。1927年、従四位の位を受け、1929年には勲二等瑞宝章を授与されました。また、1940年には紀元二千六百年祝典記念章も受けています。

参考文献

• - 秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
• - 福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
• - 外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
• - 熊本教育振興会編『肥後の人物ものがたり』熊本教育振興会、1988年。

林仙之の生涯は、彼の果たした数多くの役割や、軍人としての誇り高い歴史に彩られており、戦時下の日本陸軍を代表する人物の一人として語り継がれています。

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