林和

林 和（イム・ファ）の生涯と文学

林 和（イム・ファ、1908年10月13日 - 1953年8月7日）は、朝鮮のプロレタリア詩人であり、多様なペンネームを使用した文学者でもある。本名は林 仁植（イム・インシク）で、彼の詩や批評は、20世紀の朝鮮文学に重要な足跡を残している。

幼少期と教育

彼は漢城府に生まれ、普成高等普通学校を中退したが、その後モダニズム文学やダダイズムに触れ、文学の世界に引き込まれていった。1926年から詩や論評の執筆を開始し、特にプロレタリア文学に傾倒したことで知られるようになる。

文学活動の始まり

1929年に日本の東京へ留学し、学びを深める一方で、1926年に成立した朝鮮プロレタリア芸術家同盟（KAPF）に加入。1932年からは同盟の書記長として、朝鮮における左翼文学の振興に努めた。しかし、1935年にこの同盟は強制的に解散され、彼はその後古典研究や近代文学史の研究に従事することになる。

戦後の活動

日本の敗戦後、朝鮮は解放を迎える。1945年8月、林は李源朝や金南天と共に朝鮮文学建設本部を設立し、この組織は翌年には朝鮮文学家同盟へと改組された。ここで彼は社会主義文学の理論的指導者として活動し、朝鮮の文学シーンにおける影響力を高めた。しかし、この活動はすぐに軍政庁に弾圧されることとなる。

1947年、彼は南朝鮮の文学者や芸術家とともに北朝鮮へ移住し、朝鮮ソビエト文化協会の副委員長などを歴任した。彼は海州でのパルチザン活動の支援も行ったが、1953年の平壌市共産党委員会での全員会議において批判の的となり、数ヶ月後にはアメリカのスパイとして軍事裁判にかけられ、処刑されてしまう。

詩と文学作品

彼の詩のスタイルは叙情的であり、特に1929年に中野重治の『雨の降る品川駅』に応答して詠んだ『雨傘さす横浜の埠頭』は、彼の代表作の一つである。また、『十字路の順伊』や『お兄さんと火鉢』など、様々な詩を残している。著作には詩集『玄海灘』（1938年）、『讃歌』（1947年）、評論集『文学の論理』（1940年）などがあり、越北後には詩集『おまえはどこにいるのか』（1951年）を発表している。

さらに、1952年には金日成の生誕40年を祝って『40年』を発表した。彼の生涯は松本清張の小説『北の詩人』に取り上げられ、その文才と波乱万丈な人生が描かれている。

林和の文学は、朝鮮の歴史と時代の変遷に深く根ざしており、彼の作品は現代にも影響を与え続けている。

もう一度検索