モダニズム文学

モダニズム文学とは

モダニズム文学は、20世紀初頭、特に1920年代前後に欧米を中心に起こった文学運動です。これは、第一次世界大戦後の社会変革や都市化の進展を背景に、従来の文学形式や価値観に対する反発として生まれました。都市生活を反映し、既成の文学手法を否定する、前衛的な文学運動として特徴づけられます。

世界的な広がり

モダニズム文学は、ヨーロッパのみならず、アメリカ、日本、ラテンアメリカなど、世界各地でその動きが見られました。それぞれの地域で独自の発展を遂げましたが、共通して見られる特徴として、伝統的な文学形式からの脱却、実験的な表現の追求、そして内面世界の探求などが挙げられます。

ヨーロッパにおけるモダニズム文学

ヨーロッパでは、第一次世界大戦後のイギリスを中心にモダニズム文学が展開しました。ジェームズ・ジョイスの『ユリシーズ』や、T.S.エリオットの『荒地』は、その代表的な作品です。また、ヴァージニア・ウルフ、エズラ・パウンド、イェイツなども、この時代の文学を代表する作家たちです。フランス文学においては、プルースト、アンドレ・ジッド、ポール・ヴァレリーなどがモダニズムの旗手として活躍しました。

日本におけるモダニズム文学

日本では、昭和初期に欧米の文芸作品や超現実主義などの思潮が紹介されたことをきっかけに、モダニズム文学が根付きました。横光利一や川端康成といった新感覚派の作家たちの作品、吉行エイスケや龍胆寺雄などによる風俗的なモダニズム趣味、そして現代詩初期の運動などが、日本のモダニズム文学の出発点となりました。

小説の分野では、モダニズムの影響は一時的なものに留まりましたが、現代詩の分野では、「詩と詩論」などの詩誌を中心とした運動から、戦後の「荒地」や「凶区」といった詩誌、そして吉岡実の詩へと、一貫した流れを見ることができます。短歌の分野では前川佐美雄や斎藤史が、俳句の分野では日野草城が、モダニズムの影響を受けた作品を創作しました。

モダニズム文学の特徴

モダニズム文学の特徴として、以下の点が挙げられます。

前衛性: 既存の文学形式や表現手法を否定し、新しい表現を追求します。
新しさの追求: ボードレールの言う「モデルニテ」のように、常に新しさを求めます。
古典の再発見: 古典文学を再解釈し、新たな価値を見出そうとします。
方法意識: 従来の文学表現を理解した上で、それを土台に新しい文学を創造します。

結論

モダニズム文学は、20世紀の文学に大きな変革をもたらしました。それは単なる文学運動ではなく、社会の変化、新しい価値観の出現、そして人間存在に対する新たな認識を反映した、時代の精神を映す鏡でした。その影響は、現代文学にも深く根付いています。

関連項目

文学史
日本の近現代文学史
ポストモダン文学
モダニズム
* シュルレアリスム

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