林家木鶴

林家 木鶴 ─ 上方落語の名跡

林家 木鶴（はやしや きかく）は、日本の上方落語において重要な位置を占める名跡の一つです。この名跡は現在、空き名跡として存在しています。また、同名の演者としては笑福亭木鶴も存在しますが、ここでは林家木鶴に焦点を当ててその歴史や演者について詳しく見ていきます。

初代 林家木鶴

初代林家木鶴の生涯に関する情報はあまり詳しくは知られていませんが、本名や享年についての記録は残されていません。彼は、初代林家正三の門下にあたり、活躍したのは主に幕末から明治初期にかけてだと考えられています。文献『落語系圖』には、彼が「京師の名を得たる達人なり」と記載されており、その技術の高さがうかがえます。1840年代から1850年代くらいに活躍したと思われ、唄本を残していることから、その芸風や演目にも一定の影響を与えたと推測されます。1886年の新聞に、木鶴が十三回忌を迎えたという記事があり、その人物が初代であるかどうかは定かではありませんが、この年代から1876年まで存命であった可能性が考えられます。

2代目 林家木鶴

2代目は本名を林家岩太郎といい、1895年8月15日に亡くなりました。初代木鶴の門下生でしたが、しばらくは木雀という名で活動し、その後、3代目三笑亭可楽へ転出し馬長としても名を馳せました。また、初代都喜蝶の門下に移った後、2代目都喜蝶を経て最終的に2代目木鶴として襲名しました。彼も幕末から明治初期の活躍であり、晩年には大阪天満宮近くで寄席を経営し、多くの人々に愛された存在です。しかし、1895年、流行したコレラによって彼自身と妻が命を落とすという悲劇が起きました。彼の墓は大阪の四天王寺にあります。

3代目 林家木鶴

3代目については、元々2代目桂文三が名乗っていたため、その継承の歴史の中で重要な役割を果たしました。桂文三は一時的に養子として、木鶴という名を使うこととなりました。彼の活動はより多くの人々に伝えられています。

4代目 林家木鶴

4代目となる林家木鶴は、明治中期に生まれ、明治末に桂仁左衛門の門下として仁太郎の名で活動を始めました。しかし、師匠の死去に伴い、所属していた桂派が解散し、彼も新たな道を模索しました。その後、5代目林家正三の門下生となって互楽派に参加しましたが、時代の流れに翻弄され、1919年頃、ようやく4代目木鶴を襲名するも、急成長する吉本興業や花月派との競争の中で好機を得ぬまま亡くなりました。伝えられている十八番の演目は『紙屑屋』です。

結語

林家木鶴の名跡は、上方落語の歴史の中で重要な役割を果たしてきました。歴代の木鶴たちはそれぞれに異なる背景を持ちながらも、共に上方落語の発展に寄与してきたと言えるでしょう。その名跡が再び誰かに受け継がれ、未来の落語家によって新たな伝説が生まれることを期待しています。

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