林家正蔵

林家 正蔵

概要

林家正蔵（はやしや しょうぞう）は、江戸・東京に由来する落語家の名跡で、現在の当代は九代目です。この名跡は、初代から四代目まで「林屋正藏」と呼ばれていましたが、五代目からは「林家正蔵」となったため、「林家」の名跡として記録されています。まずは各代の落語家とその歴史を見ていきましょう。

初代

初代林屋正蔵は1781年に和泉町新道に生まれ、俗称は下総屋正蔵でした。彼は怪談噺の先駆者であり、「怪談の正藏」として名を馳せました。主に三笑亭可楽の門下で修行を積み、怪談の技術を深めました。また、著作も多く残し、柳亭左楽や他の落語家たちにも影響を与えました。1842年に没し、当時珍しい火葬を行った際、棺の中の花火が上がるという逸話が残っています。弟子たちも多く、後の落語界に多大な影響をもたらしました。

2代目

二代目林屋正藏は元々千住焼き場の僧侶で、通称「沢善正蔵」と呼ばれました。彼は「蒟蒻問答」や「野晒し」の作者としても知られています。母が初代正蔵の後妻であったため、養子となり、1839年に二代目を襲名しました。

4代目

四代目は元役者で、1865年ごろに四代目正蔵を名乗りました。通称は「我善坊の正藏」で、麻布我善坊に住んでいました。彼の死後、弟子たちは他の途に進むこととなりました。

5代目

五代目林家正蔵は、本名吉本庄三郎。彼は1834年に江戸に出て、二代目林屋正藏の門下に入門し、「正吉」と名乗ります。1888年に五代目正蔵を襲名し、1923年に100歳で死去しました。彼は怪談噺の名手として知られており、この代で「林家」という名が使用され始めました。

6代目

六代目林家正蔵は、江戸・東京の落語界で大きな影響を及ぼしました。本名は今西久吉で、1909年に入門後、1918年に六代目を襲名しました。彼は「居残りの正蔵」として知られましたが、1930年に早世しました。

7代目

七代目林家正蔵は、8代目柳家小三治との名跡争いが記憶に残る人物です。彼は落語の新作や時事ネタを得意とし、1949年に亡くなりました。

名跡の歴史と影響

正蔵の名跡は、江戸の林家の系統では5代目で途絶えましたが、その後の名跡争いや同業者との関係の中で生き残りました。特に7代目と8代目の名跡争いは、落語界でのはっきりとした影響を及ぼしました。

上方の林家

東京の林家から分派した上方・林家もありましたが、しばらくして断絶し、後に笑福亭一門から分かれた系統が引き継いでいます。

結論

このように、林家正蔵は古くから続く落語家の名跡で、各代の落語家たちが築いた伝統と影響は今なお続いています。江戸落語の歴史を語る中で外せない存在であり、これからも多くの人々に伝えられていくことでしょう。

もう一度検索