柳家小三治

柳家小三治（やなぎや こさんじ）

概要

柳家小三治は、落語界における重要な名跡の一つで、現在は空き名跡となっています。この名前は、中堅落語家として知られ、柳派の中で特に重要な出世名とされています。なお、この名跡には多くの著名な落語家が名を連ねており、七代目および八代目の柳家小三治が同時に活躍したこともありました。十代目の小三治は、真打昇進以来2021年の死去までこの芸名を保持し続けています。

名跡の変遷

名跡の歴史を辿ると、柳家小三治の初代から十代目までの落語家たちがどのように芸を受け継ぎ、発展させてきたかがわかります。初代は三代目柳家小さん、二代目は二代目談洲楼燕枝、三代目は三代目古今亭今輔など、次々と名を引き継ぎました。特に、十代目柳家小三治は東京落語界での権威として広く知られた存在となりました。

経歴

十代目柳家小三治（本名：郡山剛藏）は、1939年12月17日に東京に生まれました。父は小学校校長で、彼は非常に厳格な教育を受けて育ちました。子供時代は祖父の家に預けられたこともあり、戦後帰還した後、小学校から中学校を経て東京都立青山高等学校へと進学しました。同校卒業後、1959年に五代目柳家小さんに入門し、前座名「小たけ」としてキャリアをスタートさせます。1963年には二ツ目に昇進し「さん治」と改名。その後、1969年には真打に昇進し、十代目を襲名しました。

活躍と受賞歴

小三治はその活動を通じて多くの受賞歴を持っています。1976年の放送演芸大賞を皮切りに、1981年には芸術選奨文部大臣新人賞を受賞、2004年には同じく文部科学大臣賞を受賞しました。さらに、彼は2005年には紫綬褒章を受け取り、同年には新宿末廣亭での公演に多くの観客を集めました。最も注目すべきは、2010年に落語協会の会長に就任し、2014年には重要無形文化財保持者として人間国宝に認定された点です。

芸風と特色

小三治の落語は、独自のスタイルを持ち、特に「マクラ」の巧みさが際立っています。飄々とした表情でありながらも、飄々とした侮蔑を含ませ、聴衆を引き込みます。彼の主な演目には『あくび指南』や『芝浜』などがあり、滑稽な噺を通じた笑いの提供に専念しています。また、師である五代目小さんのあざとさを避け、客が自然な形で笑える芸を重視しています。

プライベート・趣味

落語家としての厳しい一面を持つ一方で、小三治は多趣味な人物でもありました。彼はバイクを運転し、スキーや草野球、俳句にも親しみました。また、クラシック音楽やオーディオ機器にも興味を持ち、多くの楽曲を収録したCDもリリースしています。彼の独自の文化や趣味も、落語家という職業の枠を超えた豊かな人生を物語っています。

最期と追悼

2021年の秋、最後の高座『猫の皿』を演じた後、彼は心不全のために世を去りました。享年81歳。訃報は落語協会や事務所からも公表され、彼の死は多くのファンに悲しまれました。彼の活動は生前各地で予定されており、その存在は現在も語り継がれています。葬儀も密葬で行われ、お別れの会は開かれませんでしたが、彼に対する感謝の気持ちは多くの人々に根付いています。

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