林正明

林 正明（はやし まさあき）

1971年9月4日生まれ、日本のローカルドラマ監督、演出家、脚本家、そして作家として活動する。東京都北区の出身であり、かつては陸上自衛隊に身を置いていたという異色の経歴を持つ。

来歴と人物

林正明のキャリアは、1998年4月に俳優・勝新太郎のマネージャーを務めた鈴木恭三郎に師事したことから始まる。同年10月には、株式会社有線ブロードネットワークス（現在の株式会社USEN）の自社製作ラジオ枠で、演出家としてデビューを果たした。自身がマネジメントしていたチェキッ娘出身のタレント、大瀧彩乃をメインパーソナリティに起用し、番組「大瀧彩乃のHAPPY TOGETHER」を制作。この番組では、心理テスト、R&B、法律相談、魔裟斗といった当時の流行を巧みに取り入れ、1年間にわたり高い聴取率を獲得した。

ラジオ番組制作に携わる傍ら、1998年11月には近江晃と共に芸能プロダクション、株式会社リップを立ち上げるなど、活動の幅を広げた。その後、K'sファミリーに籍を移し、映画の世界へと足を踏み入れる。サンダンス・NHK国際映像作家賞2002で入賞した緒形拳主演の作品「ミラーを拭く男」では撮影コーディネーターを務めるなど、数多くの映画製作に関わった。

監督としての本格的なキャリアは、2004年1月放送のドラマ「T・R・Y〜夢への階段〜」から始まる。この作品は、ローカル製作のドラマとしては日本で初めて、当時最先端であったCineAltaカメラHDW-F900を用いたHD-CAM方式での撮影を行ったことで大きな話題を呼んだ。その技術的な挑戦は日経エンタテイメント誌でも取り上げられ、関連コーナーが設けられるほどだった。この「T・R・Y」以降、HDVによるドラマ製作は増加したが、CineAltaカメラを使用したローカルコンテンツは稀少な存在となっている。

「T・R・Y」以降、林は「Sunny-Side-UP」「ランブリングフィッシュ」「パセリ」といった連続ドラマシリーズを、ほぼ年1本のペースで精力的に制作した。これらの作品では、自身が原作、脚本、監督、編集の四役を兼任し、クリエイターとしての多才さを示した。制作されたドラマは、KBS京都を中心とした独立U局のネットワークを通じて広く視聴者に届けられた。特に、2007年10月から放送された「パセリ」は、独立U局全13局で放映されるという快挙を達成し、さらには漫画雑誌『コミックガンボ』で漫画化されるほどの人気を博した。

林正明の人物像としては、國學院大學久我山高等学校出身であり、同級生には人気ボーカルグループ、ゴスペラーズの村上てつやと黒沢薫がいるという側面もある。また、特技として絶対音感と瞬間映像記憶能力を持っており、これは映像や音響に関わる仕事において彼の独自の才能として活かされている可能性がある。

ローカルドラマという枠組みの中で、先進的な技術導入や一人で多役をこなすスタイルを通じて、林正明は独自の表現世界を築き上げてきた。彼の作品は、地域に根ざしながらも、技術的な革新性やエンターテイメント性において、ローカルドラマの可能性を広げるものとして注目されている。

監督作品（TV）

T・R・Y〜夢への階段〜
Sunny-Side-UP
ランブリングフィッシュ
パセリ
クリスタル
パセリVシネマ
* Ｓｏｎｇ For Love

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