林泰曽

林泰曽の生涯

林泰曽（りんたいそう、1851年 - 1894年）は、清朝末期の著名な軍人であり、特に北洋艦隊において重要な役割を担った人物です。彼の業績や最期は、当時の中国の歴史において大きな意味を持っています。

幼少期と教育

林泰曽は福建省の侯官県（現在の福州市）で生まれました。彼の祖父は著名な政治家である林則徐の弟で、林則徐の娘を妻に迎え入れた沈葆楨は、彼の遠縁にあたります。幼い頃に両親を失い、林泰曽は亡き兄の妻に面倒を見てもらいながら成長しました。

1867年には、沈葆楨が設立した福建船政学堂に入学します。ここで彼は船の操縦技術を学び、1871年にはその第1期生として卒業しました。卒業後は練習船「建威」に乗船し、各地を巡る航海に参加。1874年には同船の1等航海士に任命され、さらに1875年には主任教官のプロスパー・マリー・ジケルに従い、ヨーロッパに渡ります。イギリスでは海軍の軍官学校にも入学しました。その後、彼は短期間の帰国を経て、再度留学生として渡英しました。

1879年に帰国後、林泰曽は游撃に昇進し、北洋艦隊への転属に備えて準備を進めました。

北洋艦隊での活動

1880年に北洋艦隊に転属された林泰曽は、まず砲艦「鎮西」の艦長に就任しました。その後、イギリス製の防護巡洋艦「揚威」と「超勇」を受け取り、これを持ち帰る功績により参将に昇進、超勇の艦長にも任命されました。1886年には艦長としての経験を積んだ後、鎮遠の艦長に選任され、1888年には北洋艦隊の左翼総兵の提督に昇進しました。

その活躍は時に激しい戦闘に突入することもありました。

日清戦争

1894年に日清戦争が勃発すると、林泰曽は鎮遠の艦長として戦局に参加しました。特に黄海海戦において、彼の指揮する鎮遠と旗艦の定遠は日本軍の連合艦隊から集中砲火を浴び、激しい戦闘を繰り広げました。多数の弾が命中し、火災が発生する中でも、林泰曽は冷静に鎮遠の消火活動を指揮し、戦線から退くことはありませんでした。この戦功により、彼は霍春助巴図魯の称号を受けました。

しかし、その後北洋艦隊は戦略を変更し、艦隊の存在価値を保つため無理な出撃は控えるようになります。その結果、艦隊の戦力は顕著に低下していきました。

最期

1894年の冬、鎮遠が港口で座礁する事態に陥ります。船体の亀裂は約10メートルに及びましたが、応急修理により沈没を免れました。しかし、戦力回復には至らず、旅順のドックはすでに日本軍の手に落ちていました。このような状況を重く受け止めた林泰曽は、自己の責任を感じ、服毒自殺を選びました。

彼の最期は、多くの人々に衝撃を与えただけでなく、当時の北洋艦隊の状況や清国の悲劇的な運命を象徴する出来事となりました。

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