林田十郎

林田 十郎（はやしだ じゅうろう）

林田十郎（1900年6月11日 - 1967年3月24日）は、日本の漫才師で、本名を吉田留吉といいます。彼は兵庫県神戸市に生まれ、すらっとした細身の体型から「サイラ」と称され、または「十さん」と愛称されています。

人物と芸風

十郎の落語家である師匠は仁輪加師の大和家小宝楽で、まずは大阪の弥生座で「大和家楽三郎」という名前で初舞台を踏みました。いくつかの逸話がありますが、4歳の時に市川多三郎門下で初舞台を経たとも言われています。十郎は幼少期に父を失い、旅回りの役者である林田多平に養子として引き取られました。

幼い頃は嵐三五郎の一座で子役として活動し、1918年には小宝楽の一座で女性の姿を生かした女形のモダンガールとして人気を博しました。彼は1926年に白粉に起因する鉛毒に罹患し、漫才へ転向します。以降は吉本興業に専属となり、数々のコンビを変えながら芸に磨きをかけました。

特に1928年に元落語家の芦乃家雁玉とのコンビを結成し、戦時中には「コロッケ劇団」という一座を作り、全国を旅しました。彼らのコンビ時代の出囃子は「大拍子」で、独特なペアとして親しまれました。

映画とテレビでの活躍

林田十郎は、NHK大阪放送局制作の『上方演芸会』での司会を長年務め、その独特な挨拶「こんばんわ」で全国的に知られる存在となりました。この番組は上方漫才のブームを引き起こし、戦後の漫才の発展に寄与した重要な役割を果たしました。

コンビの雁玉は「タコ壺」とあだ名されていたのに対し、十郎は「サイラ」と呼ばれて親しまれていました。1950年からは関西演芸協会の副会長も務め、地位を確立しました。また、映画にも出演し、十郎とのコンビで人気を獲得するなど、多方面で活躍をしていました。

1958年には、角座のこけら落としで大トリとして登場し、漫才界の重鎮としての存在感を示しましたが、同年に仕事先の南紀白浜で脳出血に見舞われ、雁玉とのコンビ解消を余儀なくされました。その後1959年11月には角座で引退興行を執り行いました。

晩年と死去

引退後は静かに暮らすこととなり、闘病生活を送りながら孫にも恵まれましたが、1967年に大阪府松原市の自宅で66歳という若さでこの世を去りました。彼の法名は「釋良信」で、彼の墓所は一心寺にあります。

弟子

林田十郎の弟子には林田蜂郎がいます。十郎はその独特なスタイルと存在感で、日本の漫才界において大きな足跡を残しました。

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