林要

林要の生涯と業績

林要（はやしかなめ、1894年5月3日 - 1991年12月26日）は、日本を代表するマルクス経済学者です。彼は山口県に生まれ、1920年に東京帝国大学法学部を卒業後、大原社会問題研究所で助手としての職を得ました。彼の学問の活動は早くから始まり、『日本労働年鑑』の編集に携わるなど、労働問題に深く関与しました。

その後、林は同志社大学の教授に就任し、1923年から教育の現場で教鞭を執ることとなります。彼は大学での活動を通じて、マルクス主義を広める重要な役割を果たしました。しかし、彼の思想は当時の体制に反するものであったため、1936年には同僚である野村重臣から「赤化教授」として糾弾され、大学を追われることとなります。さらに、1938年には執筆を禁止されるなど、厳しい圧力がかかりました。

戦後、林は愛知大学と関東学院大学で教授として復帰し、1979年に退職するまで、教育と研究に情熱を燃やしました。彼の妻である林てるも、彼の学問にとって重要な存在でありました。

著作の数々

林要は、多くの著書を残しており、その内容はマルクス経済学に基づくものが中心です。代表的な著作には以下のようなものがあります。

• - 『貨幣のない社会』（1933年、大畑書店）
• - 『スポーツ・宗教・社会』（1934年、政経書院）
• - 『猿と人間と社会』（1936年、叢文閣）
• - 『金融資本論入門』（1948年、同友社）
• - 『世界資本主義発達史』（1948年、三元社）
• - 『お金はどこから』（1949年、三省堂出版）
• - 『社会経済史序説』（1949年、思潮社）
• - 『経済原論 社会発展の基礎理論』（1958年、東洋経済新報社）

これらの著作は、社会経済学の分野において重要な位置を占め、彼の思想を理解するための基盤となっています。また、翻訳業にも力を入れており、カール・マルクスやフリードリッヒ・エンゲルスの著作を翻訳するなど、国際的な経済思想の普及にも貢献しました。

彼の影響

林要の学問は、単なる経済学の枠を超え、社会運動や労働運動にも大きな影響を与えました。彼の理論は、従来の経済学に新たな視点を提示し、労働者階級の視点から社会を見つめ直す機会を提供しました。特に、彼が展開した「金融資本」や「剰余価値」の概念は、後の研究者たちにも引き継がれ、発展していきました。

林要は1991年に97歳で没しましたが、彼の残した業績や思想は、現在も多くの学者や学生によって研究され続けています。彼の人生は、学問の力で社会に変革をもたらそうとした情熱に満ちたものだったと言えるでしょう。

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