野村重臣

野村 重臣 (のむら しげおみ)

野村重臣（1901年 - 1954年）は、日本を代表する民法学者および政治評論家として活動した人物です。石川県に生まれ、同志社大学の法学部政治科を卒業後、同大学の助教授となりました。しかし、彼の右翼的かつ国粋主義的な主張は同僚の反発を招き、特に1936年に発表した論文が掲載されなかったことが引き金となって、同大学内での論争が激化しました。

経歴

1936年、野村は自身の論文「日本国民社会科学の建設と国体の真実」が『同志社論叢』に不掲載となったことに対し、左翼的傾向を持つ同僚を糾弾しました。この動きは、林要、田畑忍、松山斌らに対する攻撃へと発展し、大学内での権力闘争となりました。結局、湯浅八郎総長は林を解雇する一方、野村自身とその同僚である古谷美貞も解雇されました。

大学から追放された後も、野村は右翼団体や軍の関係者を巻き込み、湯浅らリベラル派教員への攻撃を継続しました。1937年には、彼に賛同する教授が湯浅に上申書を提出し、結果として複数の教授が解雇や休職処分を受ける事態に至りました。

同志社大学を去った後は、野村は著作活動やラジオでの時事解説を行うようになり、国民精神総動員本部の調査部長を務める等、運動の中心人物となりました。特に彼は反ユダヤ主義のイデオローグとして名を馳せ、1942年には言論報国会の理事に就任しました。これにより、彼の影響力は更に強まりました。

主な著書

野村は多くの著書を執筆し、1935年に『日本民法要綱 総則編』、1936年に『同志社大学を去るに臨みて 同志社教育粛清の必要』や『日本国民社会科学の建設と国体の事実』を出版しました。彼はまた、同じ年に『林要氏はマルキストである』という作品も発表しています。

彼の活動は、戦争と思想に関する著書においても続き、1941年には『近代日本政治社会思想史大系』、1942年には『戦争と思想』、1943年には『現代思想戦史論』などを発表しました。これらの著作は、彼の思想を理解する上で重要な資料となっています。さらに、共著でも『農は国の本なり』という書籍を出版し、思想戦争に関する議論を展開しました。

結論

野村重臣は、昭和期においてその影響力を持つ思想家であり、右翼的視点からの論争を展開した人物でした。彼の活動は一時期注目されましたが、戦後はその思想がどう評価されるかが一つの課題となりました。彼の業績や著作は日本の近現代史を理解する上で欠かせないものとなり、今なお学者や研究者にとって重要な資料として位置付けられています。

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