林辺渓

林辺渓（りんべんけい）の概要

林辺渓は、台湾南部、屏東県を流れる全長42キロメートルの河川です。その流域面積は336.30平方キロメートルに及びます。源流は南大武山の南西麓に位置し、そこから泰武郷、来義郷、新埤郷、佳冬郷、林辺郷といった地域を流れ、最終的には台湾海峡へと注ぎ込みます。河口部では、林辺郷と佳冬郷の境界線を形成しています。また、主要な支流としては力力渓が挙げられます。

林辺渓の開発と治水

林辺渓の本格的な管理計画は、1929年から1934年にかけて実施されました。1937年には、台湾総督府によって主要河川の一つに指定され、林辺渓治水事務所が設立されました。戦後、この事務所は台湾省水利局（現在の経済部水利署）へと引き継がれましたが、流域全体が屏東県内に収まるという地理的条件から、1998年6月には政府直轄から県市管理の河川へと変更されました。近年では、2018年に来義郷と新埤郷の境界付近に、分流、洪水調節、貯水といった多機能を持つ大潮州人工湖が建設されています。

八八水害（モーラコット台風）による甚大な被害

2009年8月6日から9日にかけて、台湾を襲った台風8号（アジア名：モーラコット）は、台湾全土に記録的な豪雨をもたらし、各地で観測史上最多の雨量を記録しました。特に台湾の中南部および東南部での被害が甚大で、1959年の八七水害以来、最悪の水害となりました。この災害は、八八水害または新八七水害と呼ばれています。

林辺渓もこの水害で大きな被害を受けました。林辺郷側の堤防が決壊し、郷全体が浸水に見舞われました。平均浸水深は1メートル、最も深い場所では2メートルに達しました。この水害は、林辺渓流域における治水対策の重要性を再認識させる出来事となりました。

林辺渓水系の主要河川

林辺渓水系には、以下の主要な河川が含まれます。

林辺渓: 屏東郡
力力渓（力里渓）: 新埤郷、枋寮郷、来義郷、春日郷
七佳渓: 春日郷、来義郷
尖刀尾渓: 来義郷
来社渓: 来義郷
瓦魯斯渓: 来義郷、泰武郷
大後渓（托阿沃渓）: 来義郷、泰武郷

これらの河川は、林辺渓水系を構成し、地域の水資源として重要な役割を果たしています。

林辺渓にかかる主な橋梁

林辺渓には、以下の主要な橋梁が架かっています。

台鉄林辺溪橋（台湾鉄路管理局屏東線）
林辺大橋（省道台17線）
新埤大橋（台1線）
箕湖大橋（郷道屏118線）
餉潭大橋（県道185号）
丹林吊橋
丹林大橋
来義大橋（郷道屏109線、屏110線）

これらの橋梁は、地域の交通を支え、生活に欠かせないインフラとなっています。

また、支流である瓦魯斯渓には、以下の橋梁が架かっています。

瓦魯斯渓大橋
泰義大橋

関連事項

林辺渓に関連する項目として、以下が挙げられます。

台湾の河川の一覧
* 二峰圳

これらの項目を通じて、林辺渓の地理的、歴史的な背景についてさらに理解を深めることができます。

脚注

記事の内容は、公的な記録と資料に基づいています。

もう一度検索