二峰圳

二峰圳（にほうしゅう）

二峰圳は、台湾南部の屏東県来義郷に位置する地下ダムであり、地元では「アルフォンチェン」とも呼ばれています。このダムは、1921年5月に着工し、1923年5月に竣工しました。

歴史的背景

1912年（大正元年）、台湾総督府は林辺渓下流の開拓地を洪水から守るため、大規模な石堤を築きました。しかし、当時の屏東平原は、雨季には林辺渓の氾濫に苦しみ、乾季には水不足に悩まされるという、水利の面で非常に困難な状況にありました。土地は大小の礫に覆われ、土は固く締まっており、開墾は容易ではありませんでした。このような状況下で、屏東平原を開拓するためには、安定した水源の確保が不可欠であり、そのために二峰圳が建設されることになりました。

建設の経緯

二峰圳は、台湾製糖に勤務していた鳥居信平によって計画されました。その名称は、当時の台湾製糖の社長であった山本悌二郎の雅号「二峰」にちなんで命名されました。これは、ダムが地域に貢献するという願いが込められています。

主要な設備

二峰圳の施設は、大きく分けて取水部、導水部、分水部、灌漑水路の4つで構成されています。

1. 取水部：
- 地下堰：長さ328メートルのコンクリート製で、来義橋の上流に位置しています。
- 正方形の取水塔
- アーチ型トンネル
- 半円形の取水暗渠

2. 導水部：
- 導水トンネル：長さ528メートル
- 圧力暗渠：長さ450メートル
- 石積みの水路：長さ2,582メートル
導水路の全長は3,436メートルに及び、堰から萬隆農場の分水部まで水を運びます。

3. 灌漑水路：
- 幹線：長さ7,783メートル
- 支線：長さ577,197メートル

二峰圳の取水量は、雨季（6月から9月）には日量約252,000立方メートル、乾季（11月から4月）には日量約68,000立方メートルとなっています。これにより、屏東平原の農業を支えてきました。

近年の状況

二峰圳は、河床下の伏流水を集める地下ダムとして機能し、完工以来、取水が中断されたことはありません。しかし、近年、河床の低下や頻繁な浚渫作業により、地下堰が損傷したり、水路が砂礫で閉塞し、給水に影響が出始めています。2017年には、給水が一時的に停止せざるを得ない状況となりました。

このような事態を受け、屏東県は2017年の雨季前に二峰圳を修復するために、1800万元の予算を割り当て、施設の修復に尽力しました。

二峰圳の重要性

二峰圳は、屏東平原における農業用水の確保に不可欠な施設であり、その存在は地域の発展を支えてきました。また、地下ダムという珍しい構造は、土木技術の歴史においても重要な遺産と言えるでしょう。

出典

* 《9打開二峰圳 修復工程一窺伏流水取水奧祕》環境資訊中心　2017年4月11日 アーカイブ 2019年9月18日 - ウェイバックマシン

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