スーパー林道

スーパー林道とは

スーパー林道とは、かつて日本各地に建設された高規格の林道であり、正式名称を「特定森林地域開発林道」といいます。1970年代以降に建設された一般的な大規模林道とは異なり、1965年に森林開発公団によって林業振興を目的に建設が開始されました。1990年に奥鬼怒スーパー林道が完成するまで、全国で計23路線、総延長1,791kmが建設されました。

道路規格

「高規格」といっても、その規格は一般的な林道と比較してのものであり、道路幅は二車線程度の4.6mから5.0m程度でした。また、未舗装の区間も多く存在しました。現在でも一部には未舗装区間が残っています。

建設の背景と目的

スーパー林道は、本来の林業振興に加え、都道府県道や市町村道の代替、観光客や登山者の誘致など、地域からの期待も大きく、建設が推進されました。しかし、すべての計画が実現したわけではありません。例えば、富山県黒部市と新潟県糸魚川市を結ぶ計画線は、「森林開発の効果が期待できない」として調査後、着工が見送られました。また、脊梁山脈や国立公園を横断するルートも多く、南アルプススーパー林道などを中心に、自然保護を訴える激しい反対運動が各地で起こり、自然破壊の典型例として社会問題化しました。

現在の状況

スーパー林道は、完成後に地元市町村などに管理が移管されるため、現在では全体像を把握することが困難になっています。建設当初から林業以外の目的も期待されていたため、市町村道から都道府県道、さらには国道に昇格した区間や、白山白川郷ホワイトロードのように有料観光道路化された路線も存在します。これらの道路は、林道の集計には反映されません。一方で、田沢スーパー林道や上高地乗鞍スーパー林道の一部区間のように、使命を終えて事実上管理が行われなくなった道路も存在します。

まとめ

スーパー林道は、日本の林業振興と地域開発に貢献した一方で、自然破壊という負の側面も持ち合わせていました。建設から年月が経ち、道路としての役割も変化していますが、その存在は日本の道路史における重要な一部分であると言えるでしょう。

参考文献

森林土木者のための環境保全用語辞典（林業土木コンサルタンツ）「特定森林地域開発林道」の項

関連項目

日本の林道一覧
過疎
廃道

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