林鍾国

林 鍾国の生涯と業績

林 鍾国（イム・ジョングク、1929年10月26日 - 1989年11月12日）は、韓国の文学界で非常に重要な役割を果たした詩人、評論家、歴史家です。彼の父親は、多くの韓国人に影響を与えた東学の指導者、林文虎であり、家庭環境からも強い文化的背景を持っていました。

学歴と初期の活動

林鍾国は、日本統治下の慶尚南道昌寧郡で生まれ育ちました。彼は、京城公立農業学校（現在のソウル市立大学校）を卒業後、高麗大学校の政治外交学科に進学しましたが、1954年に中退しました。その後、1968年に再入学し、1969年に卒業を果たしました。彼は1956年にコデムヌァから『李箱論』を発表し、その後、テソン社から『李箱全集』を出版することで文壇に登場しました。

文学活動の深化

1957年から2年間はシング文化社で働き、1959年に『碑』を文学芸術誌に発表して詩壇にも登場します。その後、1966年には平和出版社から『親日文学論』を発表し、韓国文学界の親日派の過去を暴露しました。この作品により、彼は当時の著名な文人たちがかつて行った親日行為を広く知らしめることに成功しました。しかし、その活動は戒厳令下において、彼の著作物が押収されたり、写真の使用が禁止されたりするなどの困難を伴いました。

晩年の執筆と健康状態

1968年には中退していた高麗大学校に再入学し、その後卒業しました。1980年には執筆と療養に集中するために天安の近郊に移住しました。そして、1981年から1989年にかけて、多数の重要な著作を発表しました。これには『挺身隊実録』や『日帝侵略と親日派』、さらには『日本軍の朝鮮侵略史』といった著名な作品が含まれます。

彼の晩年は特に学問に専念し、ソウルに移住した後も韓国国立中央図書館を頻繁に利用して文献を収集し、全10巻を予定していた『親日派叢書』の執筆を続けましたが、1989年に肺気腫のため60歳でこの世を去りました。

死後の評価と影響

林鍾国の遺体は天安公園墓園に埋葬されました。彼の死後、反民族問題研究所が設立され、1994年には『親日人名事典』が出版される計画が発表されました。彼の業績は今もなお評価されており、2005年には宝冠文化勲章が追叙されました。

音楽と調査のエピソード

林鍾国は、詩作の傍らでチェロやギターの演奏にも秀でており、特にブラームスやラロ、チャイコフスキーなどの音楽を好みました。また、『親日文学論』の調査過程において、自身の父の親日行為を発見した際には困惑しましたが、その真実をありのままに記録する決意を固めたと言われています。

主な著作

彼の主な著作には、1976年に大村益夫訳で出版された『親日文学論』をはじめ、様々な作品があります。特に『日帝侵略と親日派』や『ソウル城下に漢江は流れる』などが評価されています。彼の作品は、韓国の歴史や文化を考える上で欠かせないものとなっています。

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