東学

東学（とうがく）とは

東学は、朝鮮半島において1860年、慶州出身の崔済愚（ちせいぐ）が創始した新宗教です。信者は東学教徒と呼ばれ、彼らの集団は東学党と称されます。東学は、時代の変革と共に人々の心に響く思想体系として成長し、従来の儒教や西洋の影響を受けた思想とは一線を画しています。さらに、歴代の教祖である孫秉煕（そんぴんひ）からは「天道教」という名称でも知られています。

東学の背景

朝鮮の開化期においては、儒者たちによる保守的な衛正斥邪思想と、世の中の変化を求める両班官僚や中人層の開化思想が対立していましたが、一般民衆の間に浸透することはありませんでした。そのような状況下で、崔済愚は民衆のための改革理念をまとめて東学を見出しました。彼は1824年に生まれ、多様な信仰体系を融合させて新しい思想を構築しました。崔は、「東学」という名前に西洋のキリスト教に対抗する意図を込めています。

教義と実践

崔済愚は、東学において、「後天開闢」という理想的な時代が到来すると信じ、信者が天主を仰ぎ、呪文を唱えることで神仙になると教えました。彼の教義には、国の悪政の是正や民が安らかに暮らせるようにする民本主義（「輔国安民」）や、経済的に余裕のある者が貧しい者を助け合うという相互扶助の思想（「有無相資」）が含まれています。さらに、教えのシンプルさが一般大衆に広がる理由の一因となりました。信者は日常的に「侍天主　造化定　永世不忘　万事知」という13文字を唱えることで心を乱されずに修養を積むことができます。

信者たちは、山中に設けた祭壇で天を祭る一方、武道の練習として木剣を持って剣舞を習得し、精神的な鍛錬を重ねました。しかし、東学は暴力的な革命を唱えず、教化を目指す運動として展開されました。教徒たちは常に平和的な方法を模索し、階級闘争が孕む暴力を拒否しました。

発展と抵抗

東学の教理は、保守派と開化派から排斥を受けることもあります。創始者の崔済愚は1863年に逮捕され、翌年には処刑されます。彼の経典は焼却されましたが、第2代教祖の崔時亨はそれを暗誦し復元しました。その後、教団は徐々に広まり、影響力を増していきました。

1892年には「教祖伸冤運動」を通じて、崔済愚の名誉回復を求める集会が開かれましたが、政府により弾圧されます。この頃、東学は内部で急進派と穏健派に分かれ、それぞれの思想や目的に沿って活動を行いました。

甲午農民戦争とその後

1894年、民衆の不満が高まり、甲午農民戦争（東学党の乱）が勃発します。この戦争は、東学教徒たちが政府からの過酷な圧政に反発して起こしたものでした。全琫準（チョンバンジュン）の指導の下、多くの東学教徒が集結し、政府に抗議しました。戦争自体は悲劇的な結果をもたらしましたが、民衆が一つとなって立ち上がった意義は深いものでした。

その後、きたる時代において、東学党は分裂し、孫秉煕が教祖となったり、様々な政治運動へと展開したりします。これにより、東学の教義は未来の運動に影響を与えていくこととなります。

現代の天道教

今日、韓国では天道教として知られる東学の教えが存続しており、信者数はおおよそ10万人に達し、北朝鮮にも相当な信者が存在します。教団は愛国的な活動を続けており、その影響は今も多くの人々に根付いているのです。東学の教えは時代を超えて人々の心に響き続けています。

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