林香代子

林 香代子

林 香代子（はやし かよこ）は、日本の元陸上競技選手であり、砲丸投を専門としました。日本人女子として初めて砲丸投で16メートルの壁を破り、また日本陸上競技選手権大会で前例のない10連覇を達成するなど、1970年代の日本を代表する女子アスリートとして広くその名を知られています。

選手としてのキャリア

陸上競技のキャリアは中学時代に始まります。長洲町立長洲中学校に在学していた1967年、中学女子用砲丸を使用して16メートル16センチという驚異的な記録を樹立し、若くしてその才能が注目を集めました。その後、熊本県立熊本工業高等学校に進学してからも活躍を続け、14メートル43センチの記録を残しています。高校時代にはインターハイ（全国高等学校総合体育大会）の砲丸投で3年連続優勝を果たし、2年生および3年生時には砲丸投に加えて円盤投でも優勝し、二種目制覇を達成しました。

高校卒業後は中京大学を経て、熊本陸上競技協会に所属しました。競技生活と並行して、熊本県立熊本高等学校や熊本県立大津産業高等学校で教師としても教壇に立ちました。

国内最高峰の大会である日本陸上競技選手権大会においては、砲丸投種目で圧倒的な強さを見せつけました。1972年（昭和47年）の第56回大会から1981年（昭和56年）の第65回大会にかけて、前人未踏の10年連続優勝という偉業を達成しています。日本陸上競技選手権大会で同一種目10連覇を達成した選手は、林氏の他に男子砲丸投の青木正純氏、そしてハンマー投の室伏重信氏とその息子の室伏広治氏の合計3人しかおらず、その記録がいかに歴史的なものであるかがうかがえます。

国際大会での活躍も光ります。1977年12月4日、オーストラリアのキャンベラで開催された太平洋五カ国対抗陸上競技大会において、16メートル00センチの日本新記録を樹立しました。これは、日本人女子選手として初めて砲丸投げで16メートルの大台を突破した記念すべき瞬間でした。また、アジア競技大会においてもメダルを獲得しており、テヘラン大会とバンコク大会で銅メダルに輝いています。さらに、九州陸上競技選手権大会では1980年に優勝し、大会記録を更新しています。

林氏が中学時代に樹立した中学記録16メートル16センチは、その後も長きにわたり日本中学記録として残りました。現在も、熊本県記録、熊本県中学記録、熊本県高校記録、九州中学記録、西日本学生記録、中京大学陸上競技部記録といった、樹立から30年、あるいは40年以上が経過した記録を保持し続けています。また、九州陸上競技選手権大会、東京陸上競技選手権大会、西日本学生陸上競技対校選手権大会の大会記録もいまだに保持しています。かつては日本中学記録や日本学生記録も保持していました。

引退後の活動

現役引退後は、長年の競技経験と知識を活かし、陸上競技の指導者として後進の育成に尽力しました。また、陸上競技審判員としても活動し、全国レディース陸上競技大会の審判長を務めるなど、主要な役職を歴任しました。日本陸上競技界への多大な貢献が認められ、1981年には柔道の山下泰裕氏や体操の具志堅幸司氏らと共に、朝日スポーツ賞を受賞しています。

林香代子氏は、その卓越した記録と輝かしい功績により、日本の女子砲丸投界において確固たる地位を築いたパイオニアであり、現在も破られていない多くの記録は、その偉大さを物語っています。

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