林鳳祥

林鳳祥（りん ほうしょう）とは

林鳳祥（1825年 - 1855年）は、太平天国の指導者の一人であり、チワン族の出身です。太平天国において「求王」に封じられました。広西省潯州府桂平県で生まれた林鳳祥は、拝上帝会に加入し、金田蜂起に参加しました。太平天国軍では常に先鋒を務め、数々の戦いで多大な功績をあげました。

1853年1月には武昌に入り、天官副丞相に任命されました。その後、3月の南京入城後には揚州攻略戦にも参加しています。彼の勇敢な戦いぶりは、太平天国軍の中で高く評価されました。

北伐の指揮

1853年5月、太平天国は林鳳祥、李開芳、吉文元の3人に北伐を命じました。北伐の目的は天津を占領し、その後に援軍を待って北京を攻略することでした。北伐軍は揚州を出発し、黄河を渡って山西省を経由し、直隷省へと進軍しました。北伐軍が北京に近づくと、北京の人々は恐怖に震えたと言われています。

この状況が天京に報告されると、林鳳祥は靖胡侯に封じられました。年末には北伐軍4万人が天津付近に駐留していましたが、清朝は北京一帯に兵力を集中させるようになりました。加えて、南方の出身である太平天国軍の兵士たちは、北方の厳冬に慣れておらず、北伐軍は次第に劣勢に立たされることになります。

1854年、北伐軍は連鎮に退却しました。林鳳祥は援軍が山東省に来るとの情報を得て、李開芳の部隊を派遣して援軍を迎えに行かせようとしました。しかし、李開芳と援軍が合流する前に援軍は壊滅し、李開芳は高唐州に立てこもることになりました。

北伐の失敗と最期

清軍は連鎮と高唐州を分断して包囲したため、両軍は連絡が取れなくなり、食糧も不足するようになりました。その間、太平天国は再び援軍を送りましたが、清軍に阻まれて北上することができませんでした。1855年3月、清の将軍センゲリンチン（僧格林沁）が連鎮を攻撃し、林鳳祥は負傷して捕らえられ、北京に送られて処刑されました。

その後、李開芳軍も壊滅し、太平天国の北伐は完全に失敗に終わりました。林鳳祥の死は、太平天国にとって大きな痛手となり、その後の太平天国の衰退に影響を与えたとされています。彼の生涯と北伐の失敗は、太平天国の歴史における重要な転換点となりました。

林鳳祥は、太平天国の中で卓越した軍事指導者であり、その勇猛果敢な戦いぶりは多くの人々に記憶されています。しかし、その大胆な作戦も、最終的には清朝の強固な防衛体制と冬の寒さという自然の脅威によって打ち砕かれました。

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