柏木義兼

柏木義兼について

柏木義兼（かしわぎ よしかね、生没年不詳）は、平安時代末期の武将として知られています。彼は新羅三郎義光の系譜を受け継ぎ、近江源氏の一員でした。義兼の父は山本義定であり、兄には山本義経（源頼朝の弟の源義経とは異なる）がいます。治承・寿永の乱の初期には、兄と共に近江で反乱を起こしましたが、その後の史実においては詳細が不明です。出家した後は甲賀入道と名乗り、法名は『成覚』とされています。これは『吉記』や『源平盛衰記』に記されています。

挙兵の経緯

治承4年（1180年）の11月21日、柏木義兼と彼の兄義経は、諸国の源氏の旗の下で共に近江で挙兵を決意しました。彼らは琵琶湖を制圧し、北陸道からの年貢を停止させるなど、周囲の動向を操りました。その活動の一環として、彼らは水軍を動かし、三井寺へ突入しました。ここでの襲撃は、寺院に対する大規模な攻撃を含んでいました。

歴史家の九条兼実が著した『玉葉』によれば、義兼は京に攻め入ろうとしたとされています。しかし、甲斐源氏からの使者が到着し、無勢での攻撃は避けるべきだという助言を受け、一時的に攻撃を中断することとなりました。

平氏との戦闘

12月1日、平氏方の平家継（平田入道）が近江に進攻してきました。義兼ら源氏方は抵抗しましたが、手嶋冠者が討たれ、義兼の居城も攻略されてしまいます。さらに美濃源氏の軍勢が援軍として駆けつけてきましたが、12月5日には平知盛の軍に追い散らされてしまいました。義兼及び義経は三井寺での抵抗を続けましたが、次第に平氏軍が圧力を強め、最終的には山本城に籠るしかありませんでした。

12月15日、義兼と義経は知盛・資盛の軍に攻撃され、山本城は陥落してしまいます。その際、『玉葉』では義兼の首が討ち取られたとの噂が広がったものの、これは誤情報であったと訂正されています。その後、義経は逃れ、その足で鎌倉に居る源頼朝を頼ることとなります。

その後の活動

『源平盛衰記』によれば、寿永2年（1183年）に義兼は源義仲の軍に加わり、信濃国や加賀国の住民と共に越前国へ攻撃を仕掛けました。そこで彼は燧城を築き、立て籠もっていたとされています。義仲が平氏を討って京に入ると、義兼は義経と共に京都を警護する任務に就くことになります。以降、彼に関する確固たる情報は残されていない状況です。

まとめ

柏木義兼の生涯は、彼が兄と共に織り成した歴史の一端を物語っています。平安時代末期の激動の中で、義兼が果たした役割は、後の時代においても語り継がれています。彼の出家後の活動やその後の行方には謎が多く残されていますが、彼の存在がこの時代の武将たちの闘争の一部であったことは間違いありません。

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