柘植康英

柘植康英について

柘植康英（つげ こうえい）は、1953年8月6日に岐阜県大垣市で生まれました。日本の経営者であり、東海旅客鉄道（JR東海）の第5代代表取締役会長を務めた人物です。

経歴

1977年4月に日本国有鉄道（国鉄）に入社し、鉄道業界でのキャリアをスタートさせました。1985年3月には、新潟鉄道管理局（現・JR東日本新潟支社）総務部人事課長に就任。1987年4月の国鉄民営化に伴い、東海旅客鉄道株式会社（JR東海）に入社しました。

その後、JR東海では、総合企画本部経営管理部管理課長、人事部企画担当課長、人事部勤労課長、人事部人事課長、総務部次長、総務部長、取締役人事部長、常務取締役秘書部長、代表取締役副社長を経て、2014年4月には代表取締役社長に就任しました。2018年4月には代表取締役会長となり、2023年4月に取締役相談役に退任しました。

社外での活動

JR東海での要職を務める傍ら、社外でも活発な活動を行っています。中部経済同友会では筆頭代表幹事（2011年4月～2014年4月）を、一般社団法人中部経済連合会では副会長（2014年6月～）を務めています。また、学校法人海陽学園の副理事長（2016年4月～）、愛知県公安委員会の委員（2020年7月～）、国土審議会の委員（2019年3月～）、名古屋ロータリークラブの直前会長（2020年7月～）、在名古屋フィンランド名誉領事（2021年1月～）、公益財団法人日本野球連盟東海地区連盟会長（2021年3月～）など、多岐にわたる分野で活躍しています。

人物像

実家は大垣市にある真宗大谷派の久遠寺です。大学時代は武田隆夫ゼミに所属し、東京海上日動社長を務めた北沢利文、みずほFG社長・みずほ銀行頭取を歴任した佐藤康博らと親交を深めました。趣味はテニス、ゴルフ、クラシック音楽鑑賞で、大学時代には応援部吹奏楽団に所属し、ユーフォニウム奏者として活躍しました。

10年間の国鉄時代を含む長年の人事職の経験から、「人」を大切にする考えを持っており、「人が満足感を持って働けることが安全確保の前提条件」と述べています。長期勤続を奨励し、JR東海の低い離職率（約1%）を維持しています。「10人の1歩は1人の10歩に勝る」という言葉を大切にし、チームワークを重視する姿勢が特徴です。

経営者としての手腕

社長就任後は、版権関係に関するJR東海の許諾方針を一部転換しました。それまでは鉄道模型や一部の鉄道グッズ、テレビドラマ製作を除き、原則として拒否していた製作協力について、「シンカリオン」や「君の名は。」、「ゆるキャン△」などのアニメ作品にも協力を開始しました。また、ゲームに関しても、以前は一切行っていなかった使用許諾を、「A列車で行こう9」や「電車でGO!」に提供するなど、柔軟な姿勢を見せています。

さらに、インターネットを活用した中古鉄道車両部品の通信販売サイト「JR東海鉄道倶楽部」の開設や、エクスプレス予約の規定を緩和したスマートEXサービスの開始、既存車両を活用した観光列車の運行など、社員の提案を積極的に取り入れ、JR東日本のスタイルを参考にしながらも、独自のサービスを展開しています。また、新幹線車両のJR西日本への仕様統一目的での譲渡以外には行っていなかった中古車両の譲渡にも積極的になり、ミャンマー国鉄へのキハ11形譲渡をはじめ、えちぜん鉄道への119系電車譲渡、富士急行への371系電車譲渡などを実現しました。

柘植康英は、JR東海の発展に大きく貢献した経営者であるとともに、多方面で活躍する人物として、広く知られています。

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