柘植文雄

柘植文雄（つげ ふみお）

柘植文雄は、1895年（明治28年）12月、山形県に生まれ、1987年（昭和62年）8月に亡くなった日本の内務・警察官僚です。最終階級は官選鹿児島県知事。地方行政と警察行政に長く携わり、激動の時代を生き抜きました。

生い立ちと学歴

山形県出身の柘植文弥の長男として誕生。山形高等学校を経て、1926年（大正15年）に東京帝国大学法学部を卒業しました。1925年（大正14年）11月には、高等試験行政科試験に合格しており、官僚としてのキャリアをスタートさせるための準備を整えていました。

内務省でのキャリア

大学卒業後、内務省に入省し、社会局に配属されました。その後、北海道、大阪府、広島県、愛知県など各地で勤務し、地方行政の実務経験を積みました。愛知県では官房主事兼人事課長、和歌山県では学務部長を歴任し、行政官としての能力を磨きました。また、茨城県、静岡県、新潟県では書記官兼警察部長として、警察行政の中枢を担いました。さらに、新潟県と福岡県では部長兼警察部長として、地方行政と警察行政の両面で手腕を発揮しました。

鹿児島県知事としての活動

1945年（昭和20年）4月21日、柘植文雄は鹿児島県知事に就任しました。当時、第二次世界大戦末期であり、鹿児島県も戦火に晒される状況下でした。そのため、防空対策に力を注ぎ、城山に壕を掘って県庁分室を設置するなど、県民の安全確保に奔走しました。また、終戦間際には、九州独立論を主張する一方、米軍受入体制の整備にも尽力するなど、混乱期における県政の舵取りを担いました。

しかし、終戦後の1945年10月27日、依願免本官となり退官。その後、公職追放となり、官僚としてのキャリアに幕を閉じました。

退官後

公職追放後は、福岡で水産会社を経営し、実業家としての道を歩みました。激動の時代を生き抜いた柘植文雄は、その生涯を終えるまで、日本の発展に貢献しました。

参考資料

歴代知事編纂会編『日本の歴代知事』第3巻 下、歴代知事編纂会、1982年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 人事興信所編『人事興信録』第14版 下、1943年。

もう一度検索