第13回世界青年学生祭典

第13回世界青年学生祭典

第13回世界青年学生祭典（通称：平壌祝典）は、1989年7月1日から7月8日にかけて、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の平壌市で開催されました。本祭典は、"反帝国主義の連帯と平和親善"をスローガンに全国から多くの若者たちを集めた国際的なイベントでした。

開催の背景

北朝鮮がこの祭典を開催した背景には、1981年に決定されたソウルでの夏季オリンピックがあります。北朝鮮は当初、オリンピックを共同開催しようと努力しましたが、共催案が頓挫。そこで、韓国でのオリンピックに対抗する形で、青春街スポーツ村を利用した世界青年学生祭典を実施することに決めたとされます。このように、政治的緊張が高まる中で行われた祭典は、北朝鮮にとって国際的な存在感を示す重要な機会となりました。

参加国と来場者

本祭典には合計180カ国から参加があり、約60の国家や地域の機関の代表者も共に集まりました。特に、韓国の学生運動家である林秀卿が参加したことで、北朝鮮は全民族の参加を強調しました。さらに、日本からも特別交流団が派遣され、多くの労働組合の代表者が出席しました。朝鮮総連も祭典のために支援要員を派遣し、イベントの運営に貢献しました。

経済的な影響

祭典に向けたインフラ整備には、当時の北朝鮮のGNPに相当する約47億ドルが投じられました。新たに建設された青春街スポーツ村や各種宿泊施設は期待された効果を上げることなく、債務だけが残る結果となります。特に、建設中止と再開が繰り返されている柳京ホテルの問題は、北朝鮮経済の困難さを象徴する現象です。このような経済的浪費は、後に北朝鮮の経済をさらに悪化させる要因とみなされることになります。

社会的影響

この祭典は、特に外国から訪れた青年たちの自由な恋愛観が北朝鮮の若者に強い印象を与えました。北朝鮮の伝統的な恋愛観とは異なる開放的な考え方が広まることで、平壌では"散歩"と称したデート文化が根付き、若者たちの社会的な交流が活発化しました。これにより、従来の価値観の変化が見られるようになりました。

記念発行物

祭典に関連して、記念切手も発行されました。1989年には5ウォンと10ウォンの記念切手が登場し、これに加えてソ連や東ドイツでも関連切手が発行されました。

まとめ

第13回世界青年学生祭典は、単なる国際的な交流の場ではなく、政治的・経済的・社会的な側面が密接に絡み合った複雑なイベントでした。多国籍の若者が集まり、新たな価値観が持ち込まれる一方で、北朝鮮にとっては国際的なイメージ向上の試みでもありました。結果として、この祭典は北朝鮮の歴史において重要な節目となりました。

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