柳亭左龍 (2代目)

2代目 柳亭 左龍 (りゅうてい さりゅう)

2代目柳亭左龍は、安政6年（1859年）1月に東京に生まれる。本名は相沢重五郎で、落語家として特に怪談噺に秀でた存在として名を馳せた。彼は2代目瀧川鯉かんの甥であり、また実兄には桜川遊孝、実弟には麗々亭柳三が、そして二人の娘も日本舞踊の師として活躍している。

幼少の頃から樽職人の家業を営む家庭に生まれ、彼の愛称である「樽重」や「江戸名残の怪談師」はその背景に由来する。落語の道に入るきっかけは、4代目麗々亭柳橋の門下で青柳を名乗り、初舞台を踏んだことだった。その後、叔父の縁を受けて初代瀧川鯉昇を名乗り、「瀧川連」と名付けられた天狗連の真打として活躍するようになる。

1888年3月には初代麗々亭柳昇と名乗り、同年6月には盛柳、さらに1891年4月に柳門と改名を繰り返し、多くの人にその名を知らしめた。初代柳亭左龍の門下で小左龍として活動を開始し、本格的な怪談噺を演じるようになるのはこの頃である。

明治30年代には初代の存命中に2代目左龍を襲名。初代の死後は4代目柳亭左楽の門下に移り、柳派の中心的存在として活躍していった。しかし、晩年になると欧米文化の影響が浸透し、怪談噺の人気は次第に低下。これにより、彼の活動は端席に移ることが多くなった。

最期は自宅で病死し、その死をもって多くの貴重なエピソードが同時に失われた。左龍は背中一面に刺青を彫っていたことでも知られている。

高座では独自の演出も行っていた。すだれが上がると、膝前に黒く塗った箱を置き、両脇には黒塗りの箱筒のロウソクを立て、噺の途中で一時的に燈火を消し、小道具の箱から赤と青の色火を点火。こうして暗闇の中で幽霊の演出が行われ、しばしば前座の噺家が幽霊に扮し客席を徘徊していた。この時に使用された幽霊のお面なども残っていると言われ、彼の独特なスタイルを象徴するアイテムとして、落語界における重要な文化財となっている。

左龍の落語は、彼の生涯や演出のスタイルを通じて、今なお多くの人々の記憶に残り、落語の歴史の一部を形成している。

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