柳家三語楼

柳家三語楼（やなぎやさんごろう）

柳家三語楼は、落語家として名高い名跡で、柳派に属します。現在の当代は四代目にあたります。この名跡は、落語界において多くの功績を残した名人たちによって受け継がれてきました。

初代 柳家三語楼

初代の柳家三語楼は、1875年3月17日に横浜で生まれました。本名は山口慶二で、家業は運送業でした。教育はセント・ジョセフ・インターナショナル・カレッジで受けた後、若い頃から外国人商社で働き、他の噺家に比べて珍しく英語が流暢でした。落語に魅了され、素人として活動していた時期もありました。

1910年に四代目橘家圓喬に入門し、右圓喬と名乗りました。師匠が亡くなった後は、1913年に二代目談洲楼燕枝のもとで活動を続け、「燕洲」と改名。その後、三代目柳家小さんの門下で「三語楼」と名乗り、1916年5月に真打として昇進しました。

大正時代を代表する人気の落語家である初代の特徴は、枕に英語を取り入れるなど、斬新なスタイルでした。1926年には、自ら「三語楼協会」を設立し、1927年には五代目三遊亭圓生がこの協会に参加しましたが、1930年に解散。その後も東京落語協会に戻るものの、1932年に再度離脱し、63歳で胃がんのために亡くなりました。

人物・特徴

亡くなる前、一時的に弟子である五代目古今亭志ん生の次男、三代目古今亭志ん朝の本名には、三語楼が名付けたという逸話があります。また、師匠である圓喬を崇敬し、遺言には「師匠からもらった袴を棺に入れてほしい」と記されていました。左腕には刺青が入っており、右足の親指がなかったため、足袋に工夫が見られました。

得意な演目には『九段八景』『寝床』『たぬき』『お直し』などがあり、古典落語に新たなアレンジを加えたことが、後の多くの落語家に影響を与えました。特に「たぬき」でのセリフ「いけねえ札から蚤が出てきた」は三語楼が創作したもので、特徴的なクスグリとして知られています。他にも『鰍沢』でのユニークな演出が評判を呼ぶ一方、無名の時期は仲間内ではあまり評価されていませんでした。

残された音源も多く、収録されたSPレコードには『厄払い』『嘘の皮』『眼鏡屋泥棒』など、さまざまな演目が含まれています。

その他の世代

二代目の柳家三語楼は、1898年に生まれ、初代に入門後、数度の改名を経て1946年に二代目を襲名しましたが、目立った活動は果たせませんでした。三代目は現代の六代目柳家小さんにあたり、成功を納めています。

柳家三語楼の名は、落語界における重要な位置を占め続けており、後の世代にも多大な影響を与えています。

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