柳家勧之助

柳家 勧之助（やなぎや かんのすけ）は、1981年12月18日に愛媛県八幡浜市で生まれた落語家です。本名は柏木 雅博といい、公益社団法人落語協会に所属する真打として活躍しています。

彼の落語家への道は、故郷を離れ愛媛大学に在学していた頃に始まりました。師匠となる柳家花緑の高座に触れ、その話芸の魅力に強く惹きつけられた勧之助は、大学を中退するという大きな決断を下します。そして、2003年4月、柳家花緑に正式に入門しました。同年8月には前座となり、「緑太（ろくた）」という初めての高座名を与えられ、落語家としての第一歩を踏み出しました。

前座修行を経て、2007年2月に二ツ目に昇進しました。この昇進に伴い、高座名を「花ん謝（かーしゃ）」に改名しました。二ツ目時代は、より多くの高座を務め、自身の芸を磨く重要な期間です。この頃、勧之助は2003年入門の同期である古今亭文菊、柳家小八、三遊亭ときん、鈴々舎馬るこ、桂三木助、柳亭こみち、古今亭志ん五、古今亭駒治、柳家小平太の10名と共に、「TEN」というユニットを結成し、互いに刺激し合いながら芸を競い合いました。

二ツ目として経験を重ねる中で、柳家勧之助は若手落語家として頭角を現していきます。特に顕著なのは、2016年と2017年に立て続けに受賞した数々の賞です。2016年には、若手の登竜門として知られる第15回さがみはら若手落語家選手権で優勝を果たし、さらに「三遊亭圓歌杯」でも優勝しました。翌2017年には、その勢いを維持し、第28回北とぴあ若手落語家競演会で大賞を受賞。加えて、「第三回若手演芸選手権」でも優勝するなど、主要な若手落語家のコンクールで次々と栄冠を手にしました。これらの受賞は、彼の確かな実力と、将来を嘱望される存在であることを強く示すものでした。

数々の実績を積み重ね、柳家勧之助は2018年9月、落語家にとって最高の位である真打に昇進しました。この時、同時に真打に昇進したのは、同期の柳家小平太、古今亭駒治に加え、林家たこ蔵、古今亭駒子といった顔ぶれでした。真打昇進を機に、長年親しまれた「花ん謝」から現在の高座名「柳家勧之助」へと改名しました。この「勧之助」という名前には、師匠である柳家花緑の「か」と、落語界に偉大な足跡を残した大師匠、五代目柳家小さんの「ん」の字が組み合わされており、師弟の系譜と落語への深い敬意が込められています。

高座での真摯な姿とは別に、柳家勧之助はプライベートではユニークな一面も持ち合わせています。熱心な東京ヤクルトスワローズのファンとして知られ、野球への造詣も深いようです。また、SNSで自身の写真を投稿する際に施されるモザイク処理が非常に荒いこともしばしば話題となり、そのユーモアのセンスでファンを楽しませています。

愛媛から落語家を志して上京し、前座、二ツ目、そして真打へと着実に昇進の階段を上がってきた柳家勧之助。数々の受賞歴が証明する確かな実力と、師匠・大師匠の名を受け継いだ高座名を胸に、これからも多くの聴衆を魅了し続けることでしょう。今後のさらなる活躍が期待される真打の一人です。

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