柳敬言

柳敬言（りゅう けいげん）

柳敬言は、南朝陳の皇后であり、南朝梁の武帝の外孫にあたります。彼女の本貫は河東郡解県で、家族背景としては、父柳偃と母長城公主（武帝の娘）の娘として誕生しました。幼少期より、彼女は家事をさばく手腕があり、9歳にしても成人のように見られたとされています。

柳敬言の成長過程は興味深く、身長は7尺2寸（約215センチメートル）に達し、手が膝まで垂れるほどでした。彼女の人生を大きく変えた事件として、侯景の乱が起こると、彼女は弟梨盼と共に江陵にいる元帝（陳の前皇帝）を頼りました。元帝は敬言を厚くもてなし、彼女が皇后となる道が開かれました。

承聖2年（553年）、敬言は江陵にて陳叔宝を出産しましたが、翌年には江陵が西魏軍に攻め取られ、陳頊（宣帝）は関中へ連行されます。その間、敬言は陳叔宝とともに穣城に留まりました。天嘉2年（561年）には、二人は陳に戻り、敬言は安成王妃としての地位を得ます。

太建元年（569年）に宣帝が即位すると、敬言は皇后に昇進しました。しかし、宣帝は銭貴妃を寵愛したため、敬言の扱いはさほど高くはありませんでした。太建14年（582年）、宣帝が亡くなると、氏族内の権力争いが始まり、始興王陳叔陵は、敬言の息子である陳叔宝を暗殺しようとしました。これに対し、敬言は乳母である呉氏（楽安君）と共に息子を救出しました。

後主（陳叔宝）が即位すると、敬言は皇太后となり、弘範宮で生活を始めました。当時、陳は隋軍の侵攻にさらされ、国が危機的な状況にありましたが、後主は重病に苦しんでいたため、実質的には敬言が政治を取り仕切ることとなりました。後主の体調が回復すると、政治を再び彼に委譲しました。

禎明3年（589年）、陳朝が滅亡すると、柳敬言は長安に移りました。その後、大業11年（615年）に東都洛陽で82歳で亡くなりました。彼女は洛陽の邙山に埋葬されました。

彼女の生涯は複雑で、数々の岐路に立ち向かいながらも、国に尽くした女性であることが彼女の特徴です。彼女に関する記録は『陳書』第7巻や『南史』第12巻に残されています。

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