長安

長安について

長安（ちょうあん）は、中国の古都であり、現在の陝西省、西安市に相当します。その歴史は古く、周代の渭水流域に遡ることができます。長安は、漢代にその名を得、前漢、北周、隋などの王朝で首都とされましたが、特に唐代においては、当時の最大の帝国の首都として栄え、世界でも最大の都市となりました。シルクロードの起点としても知られる長安は、経済や文化の中心としての地位を確立し、周辺地域との交易が盛んに行われました。また、長安は、西都、大興、西京といった諸名でも知られており、歴史的に見ると、長安は重要な政治的、文化的な位置を持っていました。

歴史の流れ

西周

長安の市街地としての発展は、周代の都市である豊邑（ほうゆう）に始まります。西周の時代、周公の治世において郊外の鎬京に都が移され、以降この地が長安の繁栄の基盤となりました。これらの遺跡は、現在の西安市の近くに位置しています。

秦の時代

紀元前350年頃、秦は雍から咸陽に都を移し、そして始皇帝の時代に大規模な都市計画が施されました。始皇帝のもとで、咸陽は大きく発展し、数多くの宮殿や庭園が作られました。

前漢から北周

漢王朝を建てた劉邦は、戦乱の中で新たに長安を首都と定めます。長安は独自の都市計画を持ち、九市や十二門を設け、皇族や貴族の宮殿が数多く建てられました。長安は広大な都市であったため、さまざまな文化が交差し、当時の中国の文化の中心地となりました。

隋・唐の栄光

隋朝を創った楊堅は、既存の長安を廃止して、その郊外に新たな都城を築きました。これが後に唐代の長安の基盤となり、全体が南北8651メートル、東西9721メートルという広大な都市が形成されました。人口は最盛期で100万人にも達し、国際都市としての地位を確立しました。長安では、東西の市に分かれ、経済活動が活発に行われ、また文化交流も行われていました。

五代以降

唐の滅亡後、長安は荒廃し、政治的中心地は洛陽へと移りました。その結果、長安は地方都市としての役割を果たすことになります。頼ることのできる農業生産が不十分であったため、しばしば食糧問題に直面しました。明代に入ると、長安への遷都論が唱えられましたが、食糧問題が影響し実現には至りませんでした。

他国への影響

長安は、その都市計画や文化が他国に多大な影響をもたらしました。特に日本では、平城京や平安京が長安の設計に倣ったとされ、碁盤の目状の道路などが取り入れられました。渤海の上京龍泉府も、長安をモデルにして築かれていると考えられています。

まとめ

長安は、中国の歴史において非常に重要な都市であり、様々な王朝の中心に位置し続けました。長安の影響は、中国国内だけでなく、周辺諸国の文化や都市計画にも及びました。長安の歴史を知ることは、中国文明の理解を深める重要な鍵と言えるでしょう。

もう一度検索