柳沢徳忠

柳沢徳忠：越後三日市藩最後の藩主の生涯

柳沢徳忠は、越後三日市藩の第8代にして最後の藩主です。7代藩主柳沢泰孝の長男として誕生し、幼名は彰太郎でした。母は松浦皓の娘です。

安政3年(1856年)、わずか3歳で父泰孝の死により家督を相続することになります。これは、歴代藩主の中で初めての幼少期からの相続でした。慶応4年(1868年)、徳忠は江戸を離れ、三日市藩に入部します。これは、すでに藩財政は破綻寸前という厳しい状況下でのことでした。

明治元年(1868年)、官軍に降伏。同年8月には、新潟で官軍を率いていた小松宮彰仁親王に拝謁し、恭順の意を表しました。その後は新発田藩と協力して軍事行動に参加しています。同年12月には、従五位下信濃守に叙任されています。

明治2年(1869年)の版籍奉還により、三日市藩知事となります。明治17年(1884年)には子爵に叙爵され、華族としての人生を送ります。そして昭和11年(1936年)、生涯を終えました。

徳忠の生涯は、激動の明治維新期を生きた藩主の典型と言えるでしょう。幼少期からの藩主としての重責、財政難の中での藩の存続、そして時代の変化への対応。彼はこれらの困難に立ち向かいながら、藩の維持、そして自身の役割を果たそうとしました。

彼の功績は、必ずしも華々しいものではありませんでしたが、時代の流れの中で最善を尽くした藩主の姿は、歴史の中に深く刻まれています。

家族

父: 柳沢泰孝
母: 松浦皓の娘
妻: 堀浪子（堀直休の娘）
子女:
柳沢徳鄰（長男、子爵）
柳沢彰（大蔵省営繕管財局技師、工務部技術課長。東京帝国大学建築学科卒）
貴子（立花寛篤の妻）
春子（米田国臣の妻）

柳沢彰は、東京帝国大学建築学科を卒業後、曾禰中條建築事務所を経て大学院に進学。その後、都市計画地方委員会技師、都市計画中央委員会技師、内務技師、臨時震災救護事務局事務官、帝都復興院技師などを歴任し、1927年から大蔵省営繕管財局に異動、1941年には工務部課長に昇進しています。1922年には豪州・ニュージーランドへの出張も経験しています。

栄典

* 明治6年(1873年)12月8日：木盃一個

柳沢徳忠は、短い生涯の中で、大きな歴史的変動を経験しました。彼の生き様は、時代の転換期を生き抜いた一人として、現代に貴重な歴史的証言を残していると言えるでしょう。そして、彼の家族もまた、それぞれの道を歩み、明治時代という激動の時代を生き抜いた証人となっています。彼らの人生を通して、明治維新後の日本の社会変遷の一端を見ることができるでしょう。

もう一度検索