柳津町 (岐阜県)

かつて岐阜県羽島郡に存在した柳津町（やないづちょう）は、2006年1月1日に隣接する岐阜市へ編入され、その歴史に幕を下ろしました。合併後は岐阜市の地域自治区としてその名称が引き継がれています。

柳津町は岐阜県の南部に位置し、広大な濃尾平野の一部を形成していました。地理的には、西側を木曽川、東側を長良川という二つの主要な河川に挟まれ、町の中心部を境川が流れるという、水辺環境に恵まれた土地でした。一方で、古くから水害に悩まされ、松枝輪中と呼ばれる輪中地帯の一部としても知られていました。

この地域の歴史を紐解くと、現在の境川が戦国時代末期までは木曽川の本流であったことが分かります。当時の木曽川より南側は尾張国の葉栗郡に属していましたが、天正14年（1586年）に発生した大規模な洪水によって木曽川の流路が南へと大きく変わり、移動した新しい流れが美濃国と尾張国の新たな国境と定められました。この結果、尾張国に属していた葉栗郡と中島郡の一部地域が美濃国に編入され、現在の羽島郡が成立しました。

柳津村が誕生したのは明治22年（1889年）7月1日、町村制の施行によるものです。当初は羽栗郡に属していましたが、明治30年（1897年）4月1日に羽島郡へと所属を変更しました。昭和31年（1956年）9月26日には、隣接する稲葉郡佐波村を編入し、町制を施行して柳津町となりました。その後も、昭和48年（1973年）に羽島郡笠松町と、平成4年（1992年）には羽島市との間で境界変更が行われています。そして、平成18年（2006年）1月1日、岐阜市に編入合併され、自治体としての柳津町は廃止されました。

人口は、昭和55年（1980年）の9,874人から、平成17年（2005年）には13,436人へと一貫して増加傾向を示しており、岐阜市への通勤率も2005年時点で24.0%と、隣接する中心市街地との結びつきが強い地域でした。

経済面では、大型商業施設であるカラフルタウン岐阜や、映画館のTOHOシネマズ岐阜などが立地し、地域の商業拠点としての役割も担っていました。

教育機関としては、公立の岐阜県立羽島北高校や岐阜市立境川中学校、柳津町立柳津小学校に加え、私立の岐阜聖徳学園大学附属高等学校、附属中学校、附属小学校、さらには岐阜朝鮮初中級学校などが存在しました。過去には岐阜県立羽島高等学校柳津分校、柳津町立蘇西中学校、柳津町立佐波小学校といった学校も存在しましたが、2006年の合併以前に既に廃校となっています。

交通網としては、名古屋鉄道竹鼻線の柳津駅が町の主要な鉄道駅であり、路線バスとして岐阜バスが運行されていました。道路網も充実しており、岐阜県道1号岐阜南濃線や岐阜県道・愛知県道14号岐阜稲沢線など、主要な県道が複数通っています。

町内には、柳津城や高桑城といった城跡、境川沿いの緑道公園、休憩施設としての道の駅柳津、美しい高桑星桜などの名所や旧跡、観光スポットがありました。また、アナウンサーの桑原麻美氏などがこの町出身の著名人として知られています。

岐阜市への編入により自治体としての歴史は閉じられましたが、旧柳津町の地域は現在も岐阜市の重要な一部として、その歴史と文化を受け継いでいます。

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