柳生武芸帳 双龍秘剣

柳生武芸帳 双竜秘剣：徳川家光時代の権力と武闘の渦

1958年1月3日、東宝から公開された映画『柳生武芸帳 双竜秘剣』は、五味康祐の原作小説「柳生武芸帳」を基にした二部作の後編です。監督は稲垣浩、色彩鮮やかな東宝スコープサイズで撮影された本作は、徳川家光時代の幕府を舞台に、柳生一族と山田浮月斎を中心とした、壮絶な戦いを描いた歴史時代劇です。

緊迫する時代背景と、陰謀渦巻く物語

徳川家光による強固な幕府体制下、朝廷をも揺るがすほどの秘密文書「柳生武芸帳」の存在が明らかになります。この武芸帳を巡り、柳生一族と、武芸の達人である山田浮月斎が激しい争いを繰り広げるのです。国家権力と、武芸の頂点を目指す者たちの野望が複雑に絡み合い、物語は予測不能な展開へと進んでいきます。


豪華キャストが織りなす、迫力満点のアクションとドラマ

本作には、当時の日本映画界を代表する豪華な俳優陣が出演しています。鶴田浩二、三船敏郎の兄弟を軸に、乙羽信子、久我美子、岡田茉莉子など、個性豊かな女優陣が物語に華を添えます。さらに、松本幸四郎、中村扇雀(二代目)、岩井半四郎、大河内傳次郎といったベテラン俳優たちが脇を固め、作品全体に重厚な風格を与えています。柳生十兵衛役の戸上城太郎、山田浮月斎役の東野英治郎ら、個性的なキャラクターが織りなす人間ドラマも本作の見どころです。剣戟シーンなどのアクションシーンも見応えがあり、時代劇映画としての完成度を高めています。

スタッフロール：巨匠たちの技が光る

監督稲垣浩をはじめ、脚本には稲垣浩と若尾徳平、撮影に中井朝一、美術に植田寛と北猛夫と、日本映画界を代表するスタッフ陣が結集しました。伊福部昭による音楽も、作品の世界観を効果的に演出しています。製作は田中友幸。東宝の黄金期を支えた、数々の名作を生み出したスタッフによって制作された作品であることが、作品全体のクオリティの高さを裏付けています。


詳細な配役

主要な配役は以下の通りです。

大月千四郎：鶴田浩二
大月多三郎：三船敏郎
清姫：乙羽信子
夕姫：久我美子
まや／りか：岡田茉莉子
柳生兵庫介：松本幸四郎
柳生又十郎：中村扇雀（二代目）
徳川家光：岩井半四郎
柳生十兵衛：戸上城太郎
松平伊豆守：小堀明男
柳生宗矩：大河内傳次郎
大道法眼：上田吉二郎
大久保彦左衛門：左卜全
麻生の吉郎：富田仲次郎
印南勘十郎：小杉義男
山田浮月斉：東野英治郎
坂和田喜左衛門：村上冬樹
唯野四八郎：広瀬正一
戸塚左門次：大村千吉
その他多数


時代劇映画史に残る傑作

『柳生武芸帳 双竜秘剣』は、豪華なキャスト、スタッフ、そして迫力あるアクションとドラマが見事に融合した、時代劇映画の傑作です。徳川時代の権力闘争と、剣豪たちの戦いを描いたスケールの大きな物語は、多くの観客を魅了し、日本の時代劇映画史に名を刻む作品となりました。この作品は、単なる娯楽作品としてだけでなく、日本の歴史や文化、そして人間ドラマへの深い洞察を感じさせる、見る者の心に長く残る作品と言えるでしょう。併映作品は『社長三代記』でした。

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