柳谷素霊

柳谷素霊（やなぎや それい）

柳谷素霊（1906年11月6日 - 1959年2月20日）は、日本の鍼灸師であり、医学博士の学位を持つ人物です。本名は清助といい、52歳で生涯を閉じました。彼の業績は、日本の鍼灸医学の発展に大きく貢献しており、多くの弟子を育成しました。

生涯

青森県青森市相馬町に生まれた柳谷素霊は、幼少期を函館市で過ごしました。高等小学校を卒業後、音尾正衛が校長を務める日本鍼灸専門学院に入学し、1923年に鍼・灸術資格試験に合格しました。その後、日本大学法文学部宗教科に進学し、学問を深めました。

1927年には、後の東洋鍼灸専門学校となる素霊鍼灸塾を創設し、教育者としての道を歩み始めます。また、1931年には東京鍼灸医学研究所を結成し、機関誌『東京鍼灸医学誌』を発行するなど、研究活動も積極的に行いました。

1934年には、日本漢方医学会の結成に参画し、同年には日本高等鍼灸学院を創設するなど、鍼灸医学の普及と発展に尽力しました。1937年からは、拓殖大学漢方医学講座で講師を務め、後進の育成に力を注ぎました。

1940年には、「古典に還れ」をスローガンに、岡部素道、井上恵理らと共に古典鍼灸研究会を創設し、古典の研究に力を入れました。また、雑誌『蓬松』の刊行や医道の日本社の創設、東亜医学協会の理事就任など、多岐にわたる活動を展開しました。

戦時中の1943年には、日本鍼灸医学研究所を結成し、顧問に就任しました。ここでは、駒井一雄医師が所長、竹山晋一郎が副所長、本間祥白が主任を務め、弟子である岡部素道には『霊枢』、井上恵理には『難経』、小野文恵には『鍼灸重宝記』の研究を命じ、古典研究を奨励しました。また、「日本鍼灸医学術」全8巻を発刊しました。

1955年には、フランス国際鍼灸会の招聘により渡欧し、フランス、ベルギー、西ドイツの学会で日本の古典鍼灸術を紹介し、国際的な評価を高めました。フランス、パリ鍼学会顧問にも就任しています。

1957年には、長年の夢であった東洋鍼灸専門学校を創設し、初代校長に就任しました。しかし、その2年後の1959年2月20日、東京逓信病院にて52歳で永眠しました。墓所は小平霊園にあります。

弟子

柳谷素霊は、多くの優れた鍼灸師を育成しました。主な弟子として、岡部素道、井上恵理、本間祥白、小野文恵、伊藤瑞鳳、宮入隆博などが挙げられます。

業績

柳谷素霊の業績は多岐にわたりますが、特に古典鍼灸の研究と普及に貢献したことが挙げられます。また、教育者として多くの鍼灸師を育成し、日本の鍼灸医学の発展に大きく貢献しました。国際的な活動も積極的に行い、日本の鍼灸医学を世界に広める役割を果たしました。

関連事項

経絡治療
古典鍼灸
日本鍼灸
石坂宗哲：柳谷素霊が研究した江戸後期の鍼医。医道の日本社によって復刻した「鍼灸茗話」出版の際には、自ら注頭を行っており、柳谷は宗哲を敬愛していたとされています。

参考文献

* 伊藤瑞凰、西田勇三郎、中村万喜男、富田道夫「柳谷素霊先生の業績」『日本鍼灸治療学会誌』第27巻第1号、全日本鍼灸学会、1978年、291-298頁

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