柴生田稔

柴生田稔について

柴生田稔（しぼうた みのる、1904年6月26日 - 1991年8月20日）は、日本の著名な歌人および国文学者であり、特に古典和歌の研究で知られています。三重県河芸郡に生まれ、長い学びの道を経て、文学の世界で確固たる地位を築きました。

生い立ちと教育

柴生田は父の影響を受け、自由民権運動に興味を持ちました。父親は埼玉県出身で、法律を学んだ後、判事として働く傍ら大日本帝国陸軍の法官に転職しました。母は明治女学校を卒業し、文学への情熱を秘めた人でした。彼自身は府立一中を経て一高に進学し、さらに1930年には東京帝国大学文学部国文科を卒業しました。この過程で彼は、詩歌の世界に魅了され、1927年には歌人斎藤茂吉が主宰する「アララギ」に入会し、彼に師事しました。

職業生涯

柴生田は明治大学で教授として教壇に立ち、文学部長も務めました。1975年には定年を迎え名誉教授となり、その後、駒澤大学でも教鞭を執りました。彼の研究領域は万葉集を代表とする上代文学であり、その功績は高く評価されています。

受賞歴

柴生田は歌集『入野』で1966年に読売文学賞（詩歌部門）を受賞し、さらに1982年には『斎藤茂吉伝』によって読売文学賞（研究・翻訳部門）を受賞しました。彼の作品は日本の文学界において重要な位置を占め、特に茂吉との関係からもその影響力が窺えます。柴生田は、茂吉の歌書の資料調査を支援しており、彼の研究活動は広範囲にわたり貢献しました。

著作と編纂

柴生田は多くの著書を残しています。代表的な作品には、1941年の『春山』、1959年の『麦の庭』、1965年の『入野』、そして1986年の『万葉の世界』などがあります。特に『斎藤茂吉伝』は、茂吉の人生と業績を知らしめる重要な文献となりました。彼はまた、様々な詩集や論集を編纂し、多くの後世の歌人たちに影響を与えました。

最後の時期

柴生田の晩年は穏やかであり、1991年8月20日に逝去しました。彼の墓所は多磨霊園にあります。彼の功績は今もなお多くの研究者や歌人に受け継がれ、古典和歌の研究はますます発展しています。柴生田稔は、彼の執筆と教育を通じて、戦後の日本の文学界において重要な指導者の一人とされ続けています。

もう一度検索