柴田道子

柴田道子の生涯

柴田道子（旧姓：横田）は、1934年3月30日に東京で生まれ、1975年8月14日に41歳という若さで亡くなった日本の児童文学作家、社会運動家です。彼女は、被差別部落問題や狭山事件の被告支援活動など、社会の不公正に立ち向かう活動にも積極的に取り組みました。

生い立ちと学歴

柴田道子は東京市大森区（現在の東京都大田区）で生まれました。幼少期には各地を転々と疎開しましたが、東京都立雪谷高等学校併設中学校、同高校を経て、共立女子大学文芸学科を卒業しました。高校時代には、同人誌『たわごと』を創刊し、文芸活動に積極的に参加しました。

文学活動

大学卒業後の1954年、柴田道子は乙骨淑子、奥田継夫、山下明生、掛川恭子らとともに同人誌『こだま』を創刊しました。この同人誌で、彼女は少年少女を読者とした社会小説という新しい領域に挑戦しました。

社会運動

柴田道子は大学在学中にセツルメント運動に参加し、社会問題への関心を深めました。1964年、夫の転勤に伴い長野県長野市へ移住したことがきっかけで、被差別部落出身の高校生グループ「年輪グループ」と出会い、部落解放運動に関わるようになりました。その中で『被差別部落の伝承と生活』を出版しました。1975年には、再度転勤により埼玉県へ移り、狭山事件の被告支援活動にも積極的に参加しました。

急逝とその後

喘息が持病であった柴田道子は、発作のため救急搬送中の車内で急逝しました。彼女の死後、1977年に長野県同和教育推進委員会によって「柴田道子部落解放文学賞」が創設され、彼女の功績が讃えられています。

著書

柴田道子は、数多くの著書を執筆しました。代表作としては、以下のようなものがあります。

『谷間の底から』(1959)
『消えたレーダー塔』(1961)
『ももいろの童話集』(1961)
『日本丸漂流する』(1963)
『平塚らいてぅ・この人たちは愛に生きた』(1969)
『仙人になったカン先生』(1971)
『被差別部落の伝承と生活』(1972)
『鬼女紅葉』(1974)
『皇国少女が求めた自己教育の場』(1974)
『ひとすじの光』(1976)

これらの作品は、児童文学の枠を超え、社会問題を深く掘り下げたものが多く、読者に強い印象を与えています。また、多くの雑誌や同人誌にも寄稿し、幅広い分野で活躍しました。

柴田道子は、児童文学作家、社会運動家として、短い生涯の中で社会に大きな影響を与えました。彼女の作品や活動は、現在でも多くの人々に読み継がれ、社会への貢献は高く評価されています。

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