柴立芳文

柴立 芳文（しばたて よしふみ）

柴立 芳文は、大正4年（1915年）8月12日に生まれ、昭和50年（1975年）8月5日に没した、昭和期の日本の農林業指導者であり政治家です。鹿児島県議会議員（5期）として地方自治の発展に大きく貢献し、同議会の副議長や議長も歴任しました。その後、参議院議員（1期）に転じ、国政の場で農林行政などに関わりました。

現在の錦江町にあたる鹿児島県肝属郡大根占村神川で生まれた柴立は、同郡田代村（現在の錦江町）の柴立家に養子として迎えられました。旧制鹿屋中学校（現鹿児島県立鹿屋高等学校）を経て、鹿児島高等農林学校の林学科で学びを深めました。卒業後、王子製紙に入社し、終戦まで勤務しました。

終戦後、故郷へ引き揚げた柴立は、昭和22年（1947年）に田代村議会議員に当選し、政治家としての道を歩み始めました。村議会議長も務めた後、昭和26年（1951年）には鹿児島県議会議員選挙に当選。県議会議員として5期にわたり活動し、その間に副議長を2期、議長を2期務めるなど、県政の中心人物として活躍しました。この県議時代には、鹿児島県交通安全協会会長、同緑化推進委員長、全国都道府県議会議長会副会長、自由民主党鹿児島県議団会長、同党県支部連合会幹事長など、多岐にわたる公職や党務を兼任し、地方自治の振興に尽力しました。

また、柴立は農林業分野における指導者としても重要な役割を果たしました。協栄木材の社長を務めたほか、肝属郡畜産農業協同組合連合会の会長、鹿児島県山林種苗協同組合理事長、全国山林種苗協同組合連合会副会長、鹿児島県森林組合連合会会長、同県木材事業協同組合連合会会長など、数多くの農林業関連団体の要職を歴任しました。これらの活動を通じて、地域の農林業の振興と発展に貢献しました。

長年にわたる村議会や県議会での議員活動、そして地方自治の発展への貢献が認められ、昭和45年（1970年）秋には藍綬褒章を受章しました。

昭和46年（1971年）6月に行われた第9回参議院議員通常選挙において、鹿児島県地方区から自由民主党公認候補として出馬し、当選を果たしました。参議院では建設委員を務めたほか、自由民主党の国会対策副委員長など要職に就きました。さらに、第2次田中角栄内閣および三木内閣では農林政務次官を務め、国政の場で農林行政に関わりました。しかし、参議院議員在任中の昭和50年（1975年）8月5日に死去しました。生涯を通じて参議院議員は1期のみ務めましたが、その死去に際して、これまでの功績が称えられ、没日をもって勲三等旭日中綬章が追贈され、従四位に叙されました。

柴立芳文の政治家としての系譜は、子孫にも受け継がれています。息子である柴立鉄彦氏も鹿児島県議会議長を7期にわたって務め、さらに孫の柴立鉄平氏も現職の県議会議員として活動しており、三代にわたる政治家一家として知られています。

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