柿本善也

柿本善也：奈良県政を担った政治家、その功績と課題

柿本善也（かきもと よしや）は、1938年2月7日生まれの日本の政治家、自治官僚です。彼は奈良県知事を1991年から2007年まで4期務め、その間に県政に様々な影響を与えました。

生い立ちとキャリア

奈良県大和高田市出身の柿本は、奈良県立高田高等学校を経て、1961年に東京大学法学部を卒業後、自治省に入省しました。自治省では、行政局公務員部給与課長や財政局地方債課長、財政課長などの要職を歴任し、1988年には自治大学校長に就任しました。1990年4月には奈良県副知事に就任し、上田繁潔知事の辞意表明を受けて、1991年11月の奈良県知事選挙に立候補し、初当選を果たしました。

奈良県知事として

柿本は、バブル崩壊後の厳しい経済状況下で奈良県政を担当しました。その間、1997年には1億5000万円に上る県庁食料費不正流用事件が発覚し、県庁幹部が私費で返済することで刑事事件化を免れました。さらに、2000年には奈良県立医科大学教授陣の汚職事件、2001年には奈良佐川急便事件など、大規模な不祥事が相次ぎました。また、2001年に明日香村にオープンした奈良県立万葉文化館（建設費140億円）も、古代遺跡の上に立地しているとして物議を醸し、利用者数の低迷から年間約4億円の赤字が発生しました。

知事就任以来、「遊」の哲学を提唱していましたが、県勢は衰退傾向にありました。2006年12月には、任期満了を6ヶ月前倒しして、突然今季限りでの引退を表明しました。

引退表明後の対応

引退発表後の2007年1月30日には、国道169号で法面崩落災害が発生し、3名の死者が出るという痛ましい事故が起こりました。この災害により、地域のライフラインである国道が長期に渡り通行止めとなり、地元経済や住民生活に大きな影響を与えました。しかし、柿本知事は災害発生後なかなか現地に赴こうとせず、その対応が議会で厳しく批判されました。崩落から44日後の3月15日にようやく現場入りし、関係者と懇談会を開催しましたが、その姿勢は冷たいと非難されました。

知事退任後

2007年4月に行われた統一地方選挙では、後継者に参議院議員の荒井正吾を事実上指名しました。柿本の突然の引退表明の真相は不明ですが、平城遷都1300年記念事業実施への強い執念があったとされています。また、叙勲を県在住者へ直接渡したいとの意向から、統一地方選終了後も5月2日まで在任し、退任後の6月にはボーナスが支給されたことが報道されました。2009年春の叙勲で旭日大綬章を受章。

柿本善也は、奈良県知事として県政に尽力しましたが、その功績と同時に、県政を揺るがす数々の不祥事や災害対応の遅れなど、多くの課題も残しました。

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