柿沼幸一郎

柿沼 幸一郎について

柿沼幸一郎（かきぬまこういちろう）は、1919年9月29日に栃木県で誕生し、2010年8月16日に千葉県鎌ケ谷市で逝去した、日本の著名な行政官です。彼は、公正取引委員会の委員及び事務局長を歴任し、特に新日鉄合併事件に対する独占禁止法の適用に深く関与しました。

教育背景

幸一郎は、旧制足利中学校を卒業後、1941年に旧制東京商科大学（現在の一橋大学）を繰り上げ卒業しました。在学中は田中誠二ゼミナールで学び、卒業論文として「法律社会学の諸問題」を執筆しました。この学びが、後の彼のキャリアに大いに生かされることとなります。

大蔵省でのキャリア

1942年1月、幸一郎は大蔵省へ入省し、会社部での勤務を開始しました。その後、彼は短期間で現役海軍主計科士官に志願し、海軍経理学校にて教育を受け、海軍主計中尉に任命されました。翌年には、経理学校を卒業して東京監査官付に配属されます。その後、海軍省で鉄の物動計画を担当し、1943年には主計大尉に昇進しました。

終戦後、彼は再び大蔵省に復帰し、その後の経歴は千葉税務署長や第3代麹町税務署長を経て、1955年には大蔵省金融制度調査官に就任、1960年には東京国税局総務部長となります。特に1948年には衆議院不当財産取引調査特別委員会に証人として出頭し、融資問題について証言した経験もあります。

公正取引委員会での業務

彼のキャリアの中で特に重要だったのは、1963年に神戸税関長を経て1964年に公正取引委員会事務局取引部長に就任したことです。1967年には、公正取引委員会事務局長に就任し、1969年には公正取引委員会委員としての任に当たりました。幸一郎は、八幡製鐵と富士製鐵が合併して新日本製鐵となる際の独占禁止法に関する問題を精力的に取り組みました。

日本銀行とその後の業績

1971年には、日本銀行の理事に就任し、その後も足利銀行の監査役を務めるなど、金融分野でも活発に活動しました。1989年にはその功績が評価され、勲二等瑞宝章を受章しています。

最後の時期と著作

彼の人生は2010年8月16日に終わりを迎えましたが、その影響力は多くの人々に残りました。彼は、多数の著書や論文を通じて、金融や法律に関する知識の普及にも寄与しました。主な著作には、『準備預金制度――新しい通貨』や『銀行法夜話』、さらには『資本自由化と独占禁止法』などがあるほか、論文も数多く発表しました。彼の業績は、今日の行政や金融業界においても重要な参考とされています。

もう一度検索