栃光正之

栃光 正之（とちひかり まさゆき）

栃光正之は、1933年8月29日に熊本県牛深市深海町（現在の天草市）で生まれました。彼の本名は中村有雄で、1952年に春日野部屋に入門し、大相撲界でのキャリアをスタートさせました。その後、1966年に引退するまで、彼は東大関という名誉ある地位にまで昇進しました。身長176cm、体重128kgの彼は、力強い押し相撲と寄り、上手投げを得意としていました。

来歴

栃光は農家の長男として育ち、若いころから宮相撲での活躍が目立ちました。ある日、天草に訪れた力士の姿を見て、栃錦という大関に憧れを抱くようになります。1952年、地元で開催された相撲大会で春日野部屋の力士に勧誘され、父の反対を押し切って入門。入門初日には土俵に立ち、努力の末に1954年5月の場所で新十両に昇進しました。

15戦全勝という見事な成績を残し、1955年には幕内に昇進。入幕後すぐに、松登を破り、横綱・吉葉山から金星を獲得するなど、その実力を証明しました。しかし、彼は一時期、蕁麻疹の影響で調子を崩しました。それでも1962年5月場所においては、柏戸と大鵬という横綱を下し、優勝を果たしました。この成績を背景に、大関昇進を果たしたものの、初めての大関昇進に対しては少々甘かったとの声もありました。

栃光は、名大関として称えられましたが、幕内最高優勝には手が届かず、1965年には連続負け越しが続いて大関の地位を失います。そして、1966年1月場所の千秋楽をもって現役を引退しました。引退試合では、負けた後も礼儀正しく土俵に一礼し、その姿勢が観衆を魅了しました。

引退後の活動

現役引退後は年寄・千賀ノ浦を襲名し、春日野部屋の指導者として活躍しました。栃錦を育てる助けをし、勝負審判としても活動しました。特に「世紀の大誤審」が発生した際には、土俵下から物言いをつけた記録もあります。

人物と趣味

栃光の趣味にはゴルフや麻雀があり、同郷の川上哲治をとても尊敬していました。1977年3月28日、彼は直腸癌のため、その聖なる道を去りました。43歳という若さでの死は、多くの人々に惜しまれました。彼の人生は、相撲界に大きな影響を与え続けています。

成績と記録

通算成績は577勝431敗で、勝率は.572を記録しました。特に大関としての成績は188勝131敗で、勝率は.589を誇ります。栃光は、全勝で終えた十両の優勝など、多くの記録を残しました。彼の相撲への真摯な態度や、強力な押し相撲は今も語り継がれています。

栃光の名は、相撲界の歴史にしっかりと刻まれ、多くのファンに愛され続けているのです。

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