栃津川

栃津川（とちづがわ）

栃津川は、富山県中新川郡立山町を流れる二級水系に属する河川で、白岩川水系の一部です。この川は全長16.7㎞、流域面積は36km²と比較的小規模ですが、流れは急で、平均河床勾配は60分の1と急流です。

河川概要

栃津川は立山町座主坊をその源流とし、岩峅寺付近で常願寺川扇状地の東側を流れ北へ向かいます。流れの途中で、右側から黒谷川、左側から高野川などの支流が合流します。最終的には立山町泉および上市町新清水地区で白岩川に合流します。この川は灌漑用水として利用されており、地域の農業にとって重要な役割を担っています。

栃津川はその断面積が狭い上に、流れの途中で屈曲が多いため、豪雨時には出水によって水害が発生することもあります。特に1969年（昭和44年）の大出水を契機に、1973年（昭和48年）から中小河川改修事業が開始され、流域の安全対策が進められています。

地質

栃津川の上流部は新第三紀岩稲累層の火砕岩で構成されており、平野部では常願寺川の段丘や扇状地に堆積した土壌の上を流れています。これにより、周辺の自然環境や生態系にも独特の影響を与えています。

自然環境

流域の植生は多様性に富んでいます。全体の面積の約48%は水田であり、残りの52%は森林が占めています。森林の種別としては、コナラ・アカマツ林が26%、スギ植林が15%、ブナ・ミズナラ林が11%を占めています。このように、栃津川周辺は豊かな自然環境が広がっています。

魚類についても、流れの緩やかな部分ではコイ科の魚が5種も確認されています。また、県内での記録が少ない魚種として、ゴクラクハゼやカワヨシノボリも栃津川で見られることが知られています。

別称

栃津川は上流の立山町下田地区では「若狭川」としても知られています。この名称は、かつて下田に住んでいた長者の娘・若狭が人魚を食べた後、土地を去ったという伝説に由来しています。この地域には豊かな文化や伝説が息づいており、河川はその重要な舞台となっています。

このように、栃津川は自然だけでなく、地域の歴史や文化とも深く結びついている魅力的な河川です。

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