栄光の座

映画『栄光の座』

『栄光の座』（えいこうのざ、原題：The Shoes of the Fisherman）は、1968年に公開されたアメリカの映画であり、モーリス・ウェストの同名小説を原作としています。この作品は、ローマ教皇制度の重要性を背景に、複雑な国際情勢と個人の信念が交錯する物語を描いています。

映画のタイトルの意味

映画の原題「The Shoes of the Fisherman」は、初代ローマ教皇で元漁師のペトロが履いていた靴を示しています。教皇の指輪には、ペトロが漁をする姿が象られており、その指輪を引き継ぐ者がペトロの後継者、つまり「漁師の靴を履く者」と言われています。この象徴は、教皇の役割がいかに重要であるかを示唆しています。

あらすじ

物語は、ソ連で20年間も強制労働に従事していた元リヴォフ大司教のキリルを主人公として展開します。彼は不意に釈放され、その背後にはソ連の首相カメネフの意図がありました。実は、当時中国で深刻な飢饉が起こり、それに伴い隣国への侵攻を計画していたため、カメネフは教皇庁を利用して国際問題の解決を図ろうとしていました。キリルはローマへ向かい、カメネフの思惑に巻き込まれていくのです。

ローマに到着したキリルは、予期せぬ出来事に直面します。教皇が突然亡くなったのです。彼の謙虚さと勇気を認めたバチカンの国務長官、リナルディ枢機卿は、キリルを次期教皇の候補として推薦します。投票の結果、キリルは新しい教皇に選出され、国際的な厳しい状況に直面することになります。

キリルはカメネフと共に中国に渡り、そこで首席のペングと会談を行うことになります。この会談は、世界の運命を左右する重要なものとなります。キリルは、教皇としての重責を担いつつ、自己の信念を貫く姿勢を示すことになります。

キャスト

本作には、実力派俳優たちが揃い、キリルを演じるのはアンソニー・クイン、カメネフ役にはローレンス・オリヴィエが起用されています。さらに、他のキャストにはオスカー・ウェルナー、デビッド・ジャンセン、バーバラ・ジェフォードなどが名を連ねています。日本では1975年に放送された際、声優陣も豪華であり、多くのファンに愛されています。

評価

『栄光の座』は公開当初から高い評価を受けており、アカデミー賞にもノミネートされるなどしています。特に、音楽に関してはアレックス・ノースが第26回ゴールデングローブ賞で作曲賞を受賞し、作品自体もナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の作品賞を獲得しました。また、助演男優賞にはレオ・マッカーンが選ばれています。

映画『栄光の座』は、信念と政治が交錯するドラマを描くと同時に、教会の役割について深い思索を促す作品として、今後も観る者に多くの示唆を与えることでしょう。

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