栗子トンネル (東北中央自動車道)

栗子トンネルについて

栗子トンネルは、福島県福島市と山形県米沢市を結ぶ東北中央自動車道の一部で、栗子峠の直下を貫く全長8,972メートルの長大トンネルです。2017年11月4日に開通し、東北地方では最長の道路トンネルとなりました。このトンネルの開通によって、冬季における交通の安定性が格段に向上しました。

建設の経緯

当初、この区間は1999年に東北中央自動車道の一部として事業化されました。計画段階では、現在のルートよりも南側を通るルートが検討されていましたが、高低差が大きく、冬期の維持管理や安全面に懸念があったため、高低差を抑えつつ長大なトンネルを掘削する現在のルートに変更されました。建設は2002年に開始され、当初は日本[[道路公団]]が事業主体でしたが、2003年度に新直轄方式へと移行し、国土交通省東北地方整備局が事業を引き継ぎました。

トンネルの特徴

栗子トンネルは、日本の道路トンネルの中で5番目の長さを誇ります。また、新直轄方式のため無料供用されており、無料の道路トンネルとしては日本一の長さを誇ります。しかし、5,000メートルを超える長大トンネルのため、危険物積載車両の通行は禁止されています。また、金属製タイヤチェーンの使用も禁止されており、スタッドレスタイヤの装着が推奨されています。トンネル前後の大滝チェーン着脱場、刈安チェーン着脱場でチェーンの着脱が可能です。

トンネル内部には、非常時の進入規制のための信号機が設置されています。また、長大トンネルであるため、心理的な圧迫感を軽減するために、壁面は白色タイル貼りとなっており、出口までの距離が1kmごとに表示されています。さらに、電光掲示板による残距離表示や、福島県と山形県の県境を示すパネルも設置されています。

本坑に並行して避難坑と換気坑が設けられており、安全性と快適性が確保されています。避難坑の掘削には、福島県側でトンネルボーリングマシン（TBM）が用いられました。トンネルの勾配は、福島県側が1.26%、山形県側が0.5%となっています。

歴史

2002年: 工事着手
2008年12月: 避難坑貫通
2014年3月22日: 本坑貫通
2015年3月: 本坑完成
2017年11月4日: 福島大笹生IC - 米沢北IC間開通に伴い供用開始

周辺情報

栗子トンネルは、東北中央自動車道の福島大笹生ICと米沢八幡原ICの間に位置しています。並行する国道13号の栗子峠は急勾配や急カーブが連続しており、冬期間は降雪による通行止めや大型車の立ち往生が多発していました。栗子トンネルの開通により、これらの問題が解消され、冬期でも安定した交通が確保されるようになりました。

関連事項

東北中央自動車道
延長別トンネルの一覧
延長別日本の交通用トンネルの一覧
延長別日本の道路トンネルの一覧
大笹生トンネル: 福島JCT - 米沢八幡原IC間で2番目に長いトンネル。
西栗子トンネル: 付近を通る国道13号のトンネル。
東栗子トンネル: 付近を通る国道13号のトンネル。
甲子トンネル: 栗子トンネルが開通するまで、福島県で最長のトンネルだった。
あつみトンネル: 栗子トンネルが開通するまで、東北地方で最長（山形県で最長）のトンネルだった。

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