栗山昌良

栗山 昌良（くりやま まさよし）

栗山昌良（1926年1月18日 - 2023年6月23日）は、日本を代表するオペラ演出家であり、演劇界の教育者としても知られる存在です。国立音楽大学名誉教授として多くの学生を育成し、劇団青年座に所属していました。彼の妻はメゾソプラノ歌手の松内和子です。

経歴

栗山は東京で生まれ、獨逸学協会学校中学部を卒業後、1946年に千田是也や伊藤道郎が主宰する舞台芸術アカデミーに入所し、演劇の道を本格的に歩み始めました。アカデミーを卒業後の1949年、彼は劇団俳優座に参加し、1950年から1965年まで同団体の演劇研究所でリアリズム演劇の研究を行いました。

同時に、新たに設立された俳優養成所でも講師として指導にあたりましたが、オペラの世界にも強い興味を持つようになりました。1953年には、青山杉作の助手として二期会のヴェルディの『オテロ』に関わり、翌年には青山の代役を務めてメノッティの『アマールと夜の訪問者』でオペラの演出を手がけました。この経験が彼のオペラ演出家としてのキャリアのスタートとなりました。

彼はその後、ヴェルディ、プッチーニ、ビゼー、モーツァルト、ロッシーニなどの名作オペラや、日本のオペラ作品にも力を入れ、多くの才ある演出家を育て上げました。栗山は1957年に若手音楽家たちと「スタッフ・クラブ」を結成し、オペラの振興に努めました。1964年には国立音楽大学で講師となり、その後教授に昇任し、1968年には東京藝術大学で講師としても活躍しました。

彼は1969年に東京室内歌劇場を創立し、オペラの新たな可能性を追求することを目指しました。1972年には文化庁の在外研修員としてヨーロッパに留学し、さらに視野を広げました。

演出の歩み

栗山は60年以上にわたりオペラの演出を担い、多数の初演作品を手掛けてきました。彼の作品は、二期会、藤原歌劇団、東京室内歌劇場、新国立劇場など多くの劇場で上演されており、その数は400本以上にのぼります。近年の代表作には新国立劇場でのプッチーニの『蝶々夫人』や山田耕筰の『黒船』、関西二期会でのベートーヴェンの『フィデリオ』などがあり、常に高い評価を受けています。

栗山の演出は、音楽とドラマの調和を重視し、演技者の身体の状態にも配慮したものであると評価されており、特に『夕鶴』や『金閣寺』は高く評価されています。彼の演出手法は、原作の伝えるメッセージと音楽性を重んじた正攻法であり、舞台の安定性が際立っています。

教育者としての役割

栗山は、演出家としてだけでなく、教育者としても特筆すべき功績を残しています。彼は文化庁オペラ研修所の主任を務め、1993年には国立音楽大学から名誉教授の称号を受け、1994年には文化庁オペラ研修所の所長としても貢献しました。さらに新国立劇場でのオペラ研修所の講師としても活躍し、日本のオペラ界の発展に寄与しました。

受賞歴と業績

栗山昌良は、その偉大な業績により数多くの賞を受賞しています。1974年には芸術選奨文部大臣賞音楽部門、1982年度にはウィンナーワルド・オペラ賞を受賞。1983年にはジロー・オペラ賞大賞を受賞し、1987年には紫綬褒章を受けるなど、その数は多岐にわたります。さらに、2015年には三菱UFJ信託音楽賞奨励賞も受賞しました。

最期の時

栗山は2023年の6月23日に97歳で老衰のために他界しました。死去の際には四位に叙せられ、多くの人々に惜しまれながらその生涯を閉じました。彼の影響力は今後も日本の演劇とオペラ界に長く残るでしょう。

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