東京室内歌劇場

東京室内歌劇場は、1969年に畑中良輔、栗山昌良、若杉弘、三谷礼二、杉田村雄らによって創設された日本のオペラ団体です。この団体は、「室内歌劇」という形式を通じて、現代における劇場音楽芸術の新たな可能性を追求し、それによって日本のオペラ文化の発展に貢献することを目的としています。

創立時のオープニング公演では、カール・オルフの『賢い女』とバルダッサーレ・ガルッピの『田舎の知恵者』が上演されました。この公演の実現には、第一生命ホールの支配人であった杉田が読売新聞社との共催を取り付け、若杉が舞台美術に妹尾河童を、栗山が衣裳に緒方規矩子を起用するなど、多くの協力者たちの尽力がありました。また、三谷は友人であるカフェレストラン「ジロー」の経営者、沖広治から資金援助を得ました。伴奏は小林道夫が担当し、その工夫が凝らされた演奏は、観客を魅了しました。さらに、川端康成、中村眞一郎、堀多恵子といった文化人が維持会員として名を連ね、団体の活動を支えました。

1976年からは、会員による互選で選ばれた運営委員会が団体の運営を担っていましたが、2011年に2億円を超える補助金の不正受給が発覚し、団体の存続が危ぶまれる事態となりました。しかし、2013年6月3日に「一般社団法人 東京室内歌劇場」として再スタートを切りました。現在は、オペラやコンサートの公演だけでなく、カルチャー教室や各種セミナーの開催、外部団体や企業、教育機関などへのオペラやコンサートの制作請負業務も行っています。一方、それまで運営を担っていた「任意団体 東京室内歌劇場」は、会員からの会費徴収業務に専念していましたが、2020年8月に事業を停止し、同年12月23日には東京地方裁判所から破産手続き開始の決定を受けました。

東京室内歌劇場は、2018年末までに229回の公演を重ねています。現在の代表理事は杉野正隆氏が務めています。

この団体には約300名の音楽家が会員として登録しており、様々な分野で活躍しています。

これまでに、数々の賞を受賞しており、その実績は高く評価されています。主な受賞歴としては、1973年に第3回モービル音楽賞を受賞、1988年には音楽之友社賞を『曽根崎心中』（入野義朗）と『脳死をこえて』（原嘉壽子）で受賞、1996年には第24回ジロー・オペラ賞特別賞を受賞、1999年には第7回三菱信託音楽賞を『ヴェニスに死す』（ベンジャミン・ブリテン）で受賞、2007年には第15回三菱信託音楽賞を『欲望という名の電車』（アンドレ・プレヴィン）で受賞しています。

東京室内歌劇場は、日本のオペラ文化の発展に大きく貢献している団体の一つです。今後もその活動に注目が集まります。

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