栗林得太郎

栗林得太郎は、弘化3年（1846年）に越後国蒲原郡三条町（現在の新潟県三条市）で生まれました。幼少期から学問に励み、江戸に出て蒲生重章に師事するなど、見識を広めました。戊辰戦争を機に帰郷し、明治維新後は地域社会の発展に尽力しました。

行政官としての活躍

明治2年（1869年）には、新潟県商館御取立取締役を命じられ、行政の道を歩み始めます。その後、戸長や区長を歴任し、地租改正の事務監督、学制発布後の学校設立など、地方行政に大きく貢献しました。明治天皇の小休所として自宅を提供した際には、天盃や褒賞を賜るなど、その功績は高く評価されました。

教育への貢献

栗林得太郎は、教育の重要性を認識し、学制発布後の教育機関設立に尽力しました。宝蔵寺を仮校舎とした小学校の設立や、自邸の庭園を提供して新校舎を建設するなど、地域の子どもたちの教育環境整備に大きく貢献しました。

製紙業への挑戦

明治14年（1881年）に東京で開催された内国勧業博覧会を視察した際、製紙業に着目し、明治15年（1882年）に北星社を設立しました。しかし、当時の技術では品質が安定せず、事業は軌道に乗りませんでした。この経験は、新たな産業の育成には技術革新が不可欠であることを示唆しています。

家族

栗林家は、代々七郎治を名乗り、呉服商を営んでいました。子息の五朔は、栗林商会を創業し、衆議院議員としても活躍しました。また、孫の徳一は栗林商会の会長を務め、貴族院議員にも選出されています。このように、栗林家は地域経済の発展に大きく貢献しました。

晩年

明治15年（1882年）に病のため職を辞し、明治17年（1884年）に39歳という若さでこの世を去りました。その功績を称え、大正13年（1924年）には頌徳碑が建立されました。栗林得太郎の生涯は、地方自治の確立と地域社会の発展に貢献した人物として、後世に語り継がれています。

栗林得太郎は、激動の時代において、地域社会の発展に尽力した人物です。行政官として、教育者として、そして実業家として、多岐にわたる分野でその才能を発揮しました。彼の功績は、今日の新潟県の発展の礎となっています。

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