栗林村 (香川県)

栗林村（りつりんむら）は、かつて香川県香川郡に存在した自治体です。現在の香川県高松市の一部にあたる地域をその区域としていました。特に明治時代には、香川郡の中心的な役割を担い、郡役所がこの村に置かれていました。

成立とその経緯

栗林村は、日本の近代地方自治制度の基盤となった1890年（明治23年）2月15日に施行された町村制に伴って誕生しました。この村の成立は、当時の香川郡に属していた以下の旧来の町村のそれぞれ大部分が合併することによって実現しました。

藤塚町（ふじつかまち）
上ノ村（かみのむら）
中ノ村（なかのむら）

ただし、中ノ村のごく一部、具体的には樋ノ上（ひのうえ）と呼ばれる区域は、栗林村の発足と同日に市制を施行した高松市に編入されることとなりました。高松市に編入されたこの樋ノ上地区には、後に東田町（ひがしだちょう）が新設されています。このようにして成立した栗林村は、香川郡の行政の中心地として、郡役所が置かれるなど重要な地位を占めました。

高松市への合併と消滅

栗林村は、成立から約30年の歴史を経て、隣接する高松市への編入という形でその自治体としての歩みを終えました。1921年（大正10年）11月1日に高松市と合併し、自治体としての「栗林村」は消滅しました。

合併後の地域変遷

高松市に合併された後、旧栗林村の領域は、高松市内の新たな町として再編され、現在に繋がる町割りの基礎となりました。旧大字（合併前の大きな区画）の区域に応じて、以下のような町名が新設されています。

旧大字藤塚町の区域 → 藤塚町（ふじつかちょう）
旧大字中村の区域 → 中野町（なかのちょう）
旧大字上村の区域 → 栗林町（りつりんちょう）、花ノ宮町（はなのみやちょう）、上之町（かみのちょう）、桜町（さくらちょう）、楠上町（くすかみちょう）

これらの町名は、かつて栗林村の一部であった地域を示すものとして、現在の高松市内にもその名をとどめています。短命ではありましたが、栗林村は明治から大正期にかけての地方行政における重要な一ページを担った村と言えるでしょう。

もう一度検索